本作は、アトリエ創世堂という絵画教室を営む主人公、美世子さんが見聞きしたオカルト体験・怪談話を軸に進行する、一種のモキュメンタリ―(?)ものです。?が付いているのは、モキュメンタリーの定義が自分の中であいまいだからです。なので違ったらすみません。
美世子さんの元には、やたら怖い話が持ち込まれる。発信源は教室の生徒さんや、その保護者さん、主人公の娘さん、隣町の中学校の美術教師をしているお友達など様々。最後の方は迷惑系オカルト動画投稿者もいたり。時には美世子さん自身が体験したものもあります。
初めは、学校の怪談集みたいな感じで、ひとつひとつに「ヒトのかたちをしていそう」という共通点はあれど、別個の怖い話だと思って読み進めました。このひとつひとつが、面白いのです。その怖い話はじっさいに話をしているみたいに語られるのですが、この語り口調も絶妙で、飽きさせない。時々くすっと笑いをさそう場面もあるのでなおのこと。苔のくだりは本当に笑いました。なんのこっちゃいと思った方がいらっしゃれば、それは直接ご確認ください。とまあ、こういう(?)感じで気が付いたらすいすい、読み進めています。
途中から別の共通点が発見されたり、アルバイトの凪くんが意味深な発言をしたりと、「何かある?」とその「何か」が気になってさらに読み進めてしまう。夜中に読むと、怖い思いをするだけでなく、読むのをやめられなくて寝不足に陥るというダブルコンボが待っているので、読み始める時間は要注意ですね。
ラストは、本当に意外な結末で驚かされます。その驚きが爽やかで、心穏やかなものであるとだけ、この場では触れておきましょう。ネタバレよくない。
おすすめです。
未読の方はぜひ、美世子さんが見聞きしたオカルト体験を見聞きし、意外なラストに驚いてみてください。