高校に入学したばかりの東雲三日は、部活動見学でたまたま関わった写真部の先輩から「お前宛の手紙を預かっている」と、彼女の入学前に突然高校を辞めた教師の手紙を渡される。その手紙には三日の母の死に関して、家族と警察以外に知るはずのないことが書かれていた。一方、三日の父であり殺人課の刑事ある暁斗は、川で見つかった変死体の捜査に携わる。この二つの線が交わる時、物語は大きく動いていく。
鍵の掛かったドアの向こうで何があったのか。タイトル通りの謎が大きく示されるミステリであるが、それに関わる人物の群像劇は次第にサスペンスの様相を呈していく。終盤では一気に伏線が回収され、パラパラのパーツがカチリと音を立ててあるべきところに収まる。その構成は見事だった。
ただ、あえて言えば惜しいところも散見される。例えばある重要人物の行動心理が少し衝動的過ぎないかということ。その人物の心情は痛いほどよくわかるが、それにしても立場(複数あるがそのいずれも)を鑑みれば、その選択には個人的には少し首を傾げざるを得なかった。また、前半に登場した写真部の先輩生徒たちがかなり力を入れて描かれているのに、後半出番が全くないのは残念だし、三日を支える幼馴染の源が今一つ没個性的なのも、終幕での役割を考えると勿体無い気がする。
しかしながらそれも本筋のサスペンスがしっかりしているからこそ粗が見えてくるところであって、長編の難しさでもあるかもしれない。
小さな綻びから家族の封印された秘密が暴かれてしまう。この手のサスペンスが好きな方に。