物語は国が滅ぶ寸前、主人公・マクシムの覚悟から始まります。
息子にすべてを託し、自らは剣を握り締めてその時を待つ。
そんなイケオジの熱い覚悟を浴びた後、彼の回想へ――。
正直、物語全体を通してかなり重いです。
だが、そこがいい。
マクシムが何を護りたかったのか、本当はどうありたかったのか。
『鴉』としてあり続けなければいけなかったイケオジの生涯は、そんなに軽いものではありません。
ぜひ、彼の覚悟を全身で浴びていただきたい。
内容は先述した通り重いのですが、とても読みやすく、世界の音や匂いまで感じることができる作品です。
本作は『黄金のアウレリア ―セルディア王国記―』の外伝に当たりますが、未読でも楽しめる作品となっています。
ですが、本作と密接に関わっているところも多々ありますので、未読の方には本編もおすすめいたします!
王家の護衛騎士であり、その影として生きてきた『鴉』マクシム。
王家と歴史に翻弄され、時には手を汚しながら役目を果たしてきた彼が、黄金の髪と瞳を持つ聖女アウレリアと出会うところから、この物語は動き始めます。
マクシムが、とにかくかっこいいです。
戦闘では息を呑むほど強く、王家の影として冷徹に役目をこなす。
けれど、決して冷たい人間ではありません。
むしろ彼の中に善性があるからこそ、自らの役目と罪悪感の間で揺れ続ける。
王家の影として背負ってきたものと、一人の人間として抱く思い。
その葛藤が丁寧な心理描写で描かれ、読み進めるほど胸が痛くなりました。
そして『鴉の止まり木』というタイトルがとてもいいのです。
読み終えたあと、もう一度このタイトルを見ると……胸に迫るものがあります。
変えられない立場、受け継がれていく業――人は何を選び、何を守ろうとするのか。
物語の中にある光と闇の対比も美しく、最後まで読んだからこそ見える光がありました。
文章も読みやすく流麗で、歴史や政治関係といった情報量のある部分も、引っかかることなく頭に入ってきます。
それでいて人物の心理は細やかで、しっかり胸に残る。
この外伝には、とても濃密な時間が詰まっています。
本編『黄金のアウレリア —セルディア王国記—』の前日譚ですが、こちら単体でもとんでもなく面白いです。
そして、こちらを読んでから本編へ行くと、何気ない台詞や描写にも新たな意味が見えてくる。
物語の見え方がもう一段深くなるのも、この外伝ならではの面白さだと思います。
本編のファンにも、まだ本編を読んでいない方にもおすすめしたい作品です。
そして最後にもう一度言わせてください。
マクシムが、とにかくかっこいい!
イケオジです。
ぜひ、この『鴉』の生き様を多くの方に見届けてほしいです。
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