友達の家を訪ねたはずなのに、玄関を開ければ「いらっしゃいませ」。
何気ない訪問が、なぜか接客へと変わっていく。
人数の合わない案内、会話や沈黙によって変動する料金、そして誰もいないはずの場所から聞こえてくる声。
友人同士の軽妙なやり取りに笑いながらも、繰り返される言葉が少しずつ意味を変え、日常の隙間へ不穏な気配が入り込んできます。
特に、「また始まった」と笑えるはずの展開が、いつの間にか笑ってよいのか分からないものへ変わっていく流れが見事でした。
友達の妙な接客なのか。
それとも、そこには本当に別の「お客様」がいるのか。
笑いと怪異の境界で、温かいはずのお茶が少しだけ冷たく感じられる、不思議なショート作品です。