こちらですね。出だしからすごく惹きつけれました。
自分の敵は自分の脳みそである。……分かる。
そんなつもりのない受け取られ方のする言葉を選びコミュニケーションの不和を起こす……分かる。
おそらく本当は、共感を誘う系のお話ではありません。
が、自分はものすごく共感を覚え、引き込まれました。
作者様はもちろんのこと、このレビューに誘われて読んだ方に、「え、きみ、こんななの?」となりかねないので一言添えます。乱暴な物言いに共感を覚えたとか、人を傷つける言葉ばっかり出て来ることに共感を覚えたというわけではありません。なんだろう……主人公の思考の傾向(?)、悩み(?)に共感を覚えました。ちなみに「おんぼさ」のネタで登場する「私」に一番共感しました。未読の方は「おんぼさ」って何やねんとなるかと思いますが、それは直接ご確認ください。たぶん、分かる人には分かる……。
この通り、分かる人には分かる、さらには刺さる人には刺さる、という現象が起こっているわけですが、この感覚をどう表現してレビューすべきかとかなり悩みました。ちなみに時間にして六、七時間。ずっと悩んで頭のなかで書いては消し、書いては消し。テキストエディタを開いても書いては消し、書いては消し。いやね。この感覚を言葉にするほどの語彙力が、無いんです。お恥ずかしい。
本作は……マイルドに書くと”普通とは少し感覚の違う”お笑い芸人のお話です。普通って何さ、という意見もあるかと思いますが、それを言い出すと何も書けないので、普通と書かせていただきます。マイルドってどいうい意味さ、ともなることでしょう。それは直接ご確認ください。たぶん、「ああそれは確かに直接的には書きづらいかも」と理解いただけるはずです。
本作の主人公さんは、普通と少しずれているがゆえに昔から苦労していたようです。
当人は面白いと思っていたが周囲からすると不謹慎だったネタで周囲を凍らせてしまう。成長してお笑い芸人として生計を立てるようになっても、当人の独特な思考によるネタであるため「伝わる人にしか伝わらない」現象が起きて滑り続けています。
主人公はお笑い芸人ということで、ネタが複数登場します。このネタについて笑ったか笑ってないかは伏せておきます。たぶん、かなり人による。それがむしろ、味を出しています。
AIさんいわく「わかりやすい娯楽性」よりも、言葉の美しさや人間の心の奥底、社会のあり方といった「芸術性やテーマの深さ」を大切にする小説を純文学というのだそうですが、ならば本作はまさに純文学でしょう。
主人公の特性のよく出ているお笑いのネタから、乱暴で、皮肉めいていて、独特な言い回しをしている地の文(一人称なので主人公の言葉)まで。節々から「らしさ」があり、普通と違うがゆえの苦悩をよく表している。テーマがしっかりと感じられる、素晴らしい作品です。
……六、七時間かけたわりにレビュー内容薄くない?
それは本当に申し訳ありません。
とにかく、お勧めです。未読の方はぜひ、ご一読ください。