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この作品は、非常に高い完成度を持っています。世界観の説明は、もう少し欲しい気もするけれど、それは短編ゆえに仕方のない事。それよりも、きちっと絞られたテーマを、この分量で書き切っている所に巧みを感じます。短い、けれど密度があり、救済の代償もちゃんと逃げずに描かれている所が、作品全体の完成度を更に押し上げていると思いました。人を決めるのは誰か。軽い娯楽作品の派手さよりも、文芸よりの深い物語という感じがして、非常に好感が持てます。
大勢のための一人の犠牲は、美談として語られます。気づけば悲しみや怒りさえ、教会の語りによって美しいものへと塗り替えられる。穏やかな悪意、優しい暴力に体の芯が冷えました。意外にもやさしい結末にほっとしてページを閉じて……ふと思う。現実を生きる私たちの感情は、真に自分たちのものでしょうか。さくっと読める中短編。ぜひ、物語の真実をその目で確認してみてください。
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