酒場を舞台に、無口で謎めいた「マスター」と、冒険者になったばかりの若者たちの日常を描いているのが印象的でした。
特に、マスターが何気なく口にした「明日は雨だ」という一言から、ただ者ではない雰囲気が一気に伝わってくる展開が良いです。その後も天候を言い当てるだけでなく、討伐について「やめておけ」と忠告するなど、マスターの正体や過去が気になる作りになっています。
また、若者を酒で潰してしまった後に水を飲ませたり、危険な討伐には参加させなかったりと、無愛想ながらもマスターなりに若者を気にかけているように感じられるのも魅力的でした。
派手な展開を急がず、酒場での会話や人物同士のやり取りから世界観とキャラクターをじっくり見せていく作品で、謎めいたマスターが今後どのような人物として描かれていくのか楽しみになる導入でした。
最初は無愛想でちょっと怖いマスターだと思っていたのに、ゆったりと読んでいくほど「実はすごく優しい人なんだな」と分かってくるのが良かったです。
そんな偉大な人なのに、名前を知られてなかったとか、顔が分からないとか、いろんなギミックが詰まっているのかしら… マスターとしか呼ばせてないし
そんでもって特に「生きてりゃ払いにくるだろうさ」という言葉が印象に残りました。
未来が視える能力もすごいけど、それより、その力で人を助けながら酒場で帰りを待っているところがかっこいいです。
若いシリルも剣が苦手だからと終わるのではなく、採取や料理で自分の役割を見つけていくのも良いです。
最後に初めて「シリル」と名前を呼ぶ場面は、二人の関係が本当の師弟みたいになった感じがして嬉しかったです。