とても色彩の美しいお話だと思いました。
色が多くあるのではありません。情景には森や水の色もあるのでしょうが、際立って鮮烈に目を引くのはたった三色。
赤、青、そして白。
時には血の色として、時には薔薇の色として、この三色が際立ち、読み手の目を引く。そして、惹き付ける。
主要人物はふたりです。
青い血の流れる、赤色好きの魔女ルージュ。
そして魔女ルージュに拾われ、魔女ルージュを慕う、弟子の少女です。
魔女ルージュは、良心から少女を拾ったのではありません。
赤い血を手に入れるためです。
魔女ルージュはたびたび、弟子の血や瞳の赤に注目し、なみなみならぬ赤色への執着を見せます。ですが弟子を取ったことで、少しずつ生活が変わっていく。
ラストの色の変化はとても美しく、切ないです。
弟子の姿は早々に麦わら帽子で隠れていて描写されず、加えて名前も登場しないことを不思議には思っていたのですが、それはラスト、色が一転するための布石だったのだと驚かされました。
お勧めです。
未読の方はぜひ、この「色」が魅せる美しく切ない、魔女と弟子の物語をご一読ください。
赤を愛し、青い血を憎む魔女・ルージュ。
彼女が森で倒れていた少女を拾ったのは、純粋な優しさからではありませんでした。
少女の赤い血を、いつか自分のものにするため。
そんな薄暗い欲から始まる師弟関係が、少しずつ別のものへ変わっていく。その過程が、美しく、不穏に描かれた全三話の短編です。
ルージュにとって、赤は憧れであり、幸福の象徴。
一方で、青は迫害され続けてきた自分自身の証でもあります。
赤いドレス、青い血、白い髪、薔薇、古びた麦わら帽子。
作中に置かれた色や小物の一つひとつが、人物の感情や過去と結びつき、読み進めるほど意味を変えていくところがとても印象的でした。
特に魅力的なのは、ルージュと弟子の関係です。
弟子は師匠を心から慕い、魔法を覚えるたびに嬉しそうに報告する。
ルージュもまた、血を狙って育てているはずなのに、褒め、案じ、見守ることがいつしか当たり前になっていきます。
けれど、その穏やかな暮らしの奥には、最初から決して消えない秘密があります。
欲から始まった関係は、本当に家族になれるのか。
人は、自分を苦しめてきた悪意から、大切な誰かを守れるのか。
赤、青、白。
三つの色が最後にどんな意味を持つのか、ぜひ実際に見届けてほしいです。
三話という短さの中に、迫害、自己嫌悪、憧れ、愛情が濃密に織り込まれた、切なく美しい物語でした。