主人公・文乃が出会ったのは、花が香りるマテバシイのお兄さん。
美しく穏やかなその人は、文乃のお祖母様との遠い記憶を語ってくれます。
長い年月を生き、さまざまな時代を見つめてきたマテバシイのお兄さん。そのすべてを包み込むような優しさと、静かに寄り添ってくれる温もりが、じんわりと心に沁み渡ります。
そして、彼とおしゃべりをする鳥たちの愛らしさといったら……!
文乃のことを一生懸命伝えようとするのですが、なぜか情報が少しずつズレてしまい、思わぬ形で伝わってしまう様子には、思わずクスリと笑ってしまいます。
周囲の温かな見守りに包まれながら、少しずつ芽生えていく小さな恋心。
思わず登場人物たちの行く先を目で追いたくなる、優しさと笑顔に満ちた癒しのラブストーリーです。
文章はとても美しく洗練されており、情景が鮮やかに浮かぶだけでなく、登場人物たちの心の動きまでも映像のように感じられます。
慌ただしい日々に疲れた方へ。
現実を少し忘れて、ただひたすらに美しく、優しい世界に触れたい方に、ぜひ読んでいただきたい作品です。