異世界へ転移した福岡を襲うのは、魔法、狂信、そして人間の思惑。
それに立ち向かう武器が「法律」だと聞けば、まずその発想に惹かれると思います。
けれど、読み進めるほどに感じたのは、この作品が単なる「法律VS魔法」ではないということでした。
六法全書、証拠、行政手続き、警察、政治、報道、研究、インフラ。
普段なら地味に見える、人間が長い時間をかけて積み上げてきた“社会の仕組み”そのものが、不条理へ抗う力として描かれていきます。
しかも、誰か一人が絶対的な正義として立つ物語ではありません。
守りたいものが違えば、同じ事実を前にしても選ぶ道は変わる。
社会を守るために伏せたい真実もあれば、たとえ泥にまみれてでも掘り起こさなければならない事実もある。
その中で、くたびれた一人の弁護士が握るのは、剣でも魔法でもなく、六法全書と紙の束。
「やったことは裁かれるべきだ。けれど、やっていないことまで背負わせていいのか」
そんな単純ではない問いに向き合いながら、少しずつ巨大な思惑へ食い込んでいく展開に、どんどん引き込まれました。
派手な異世界の不条理に、人間が作った泥臭い仕組みで抗っていく。
魔法と法律という異色の組み合わせから始まり、やがて政治や人間の責任まで絡み合っていく、非常に興味深い群像劇です。
法廷の扉が開いた時、果たして何が「事実」として残るのか。
その行方を、ぜひ見届けてほしい作品です!!