幼い「ぼく」の視点で語られるからこそ、お父さんの本当の姿に気づくたび、胸が締めつけられました。
髪がなくなった理由。暗い部屋でうずくまっていた理由。お母さんが涙を流しながら、それでもテレビを見続けていた理由。
幼い息子にはまだ分からないことが、大人の読者には痛いほど伝わってきます。
家族のために嫌われ役を引き受け、最後までリングに立ち続けたお父さん。その生き方は、どんなチャンピオンよりもかっこよかったです。
そして、二度交わされた指切りの約束。あの結末は、反則です……。
悪役レスラーだったお父さんは、間違いなく、家族にとって最高のヒーローでした。