政府の機関によってかたき討ちが承認され、合法的に行われるようになった狂った日本を舞台にした物語。
まず基本設定からして狂っている。『国家特別治安維持局検討課』通称“トウカ”への
申請が通れば、殺人事件の遺族などが直接犯人を裁いてよい……正確には公衆の面前で
お互いを殺し合う機会を与えられるというぶっ飛んだ設定だ。
法で裁けぬ悪を斬ると書くと、必殺仕事人的なものを想像するが、
この作品内では、仇討ちは正義の行いでも何でもない。
れっきとした殺人。それ以上でもそれ以下でもない。
ただ そこで行われる殺人に関して罪に問われることはない、というだけだ。
非常に露悪的で……しかし面白いのだ。
仇討ちの場には大勢の観客が入り、エンターテイメントとして消費される。
家族を殺された者に対し、仇を討ちたい? ほら見ててやるからやってみろと
面白半分でけしかけるようなゲスの極みがある。
返り討ちにされるものがいる。仇を討っても、人を殺したという罪悪感に
耐えられなくなるものもいる。復讐を果たした時の快感が忘れられず
何度も繰り返すものもいる。そこにあるのは暴力の果てしなき連鎖。
酷い話ではある。でも、目が離せないのがこの作品の魅力だ。
この仇討ちの連鎖の果てに何があるのか、自分の目で見届けたくなる。
露悪的なもの、復讐ものが好きな人におすすめの一作。