孤独に育った青い目の少女が、人ならざる存在と交わした契約。
古代東スラブから日本へ渡った伝説は、千年後の現代、那須の殺生石で一つのUSBメモリを拾った青年へと繋がっていきます。
九尾の狐や玉藻前の伝承、古代ロシアの物語に、USBメモリや予知夢といった現代的な要素が加わる意外な展開が、とても面白く、「この出来事はどこへ繋がるのだろう」と先を追わずにはいられませんでした。
物語を貫いているのは、誰かに見つけてほしい、独りにしないでほしいという切実な願いです。
壮大な時間を描きながらも、その中心にある感情はとても身近で、少女の孤独が少しずつ胸に迫ってきます。
不思議な出来事の裏側が明らかになるにつれ、序盤の言葉や場面が新しい意味を帯びていくのも本作の魅力です。
伝説、転生、時を越えた縁が一つに結ばれる結末には、驚きとともに温かな余韻が残りました。
歴史や伝承を題材にしたファンタジーがお好きな方はもちろん、長い時を越えて続く愛や約束の物語に惹かれる方にも、ぜひ読んでいただきたい作品です!