登場人物の立て方がとても上手く、最後まで一気に読まされました。
登場人物は決して少なくないのに、それぞれが「同じ状況でどう判断するか」「何を守ろうとするか」で明確に描き分けられていて、名前や設定を覚えるために立ち止まる感覚がありません。
特に印象的だったのが、ライガとレイナの関係です。
正道を歩こうとするレイナと、その正道を守るために自ら汚れ役を引き受けるライガ。単なる主従関係ではなく、二人の考え方の違いそのものが役割分担につながり、最終的には冒頭の処刑へ帰結していく構成がとても綺麗でした。
政治や軍、家の内情など情報量の多い世界観でありながら、説明のために物語が止まる感覚もほとんどありません。必要な設定が人物の会話や判断、戦いの中から自然に見えてくるのも読みやすかったです。
結末は悲劇的ですが、ライガがなぜそこまでしたのか、そしてレイナに何を残したのかまで最後にはしっかり届きます。
文章、人物、構成のどれも完成度が高く、特にキャラクターの際立たせ方が印象に残る作品でした。
重厚なはじまりです。処刑から始まり、そこから一か月半前へ戻って「なぜこの青年は処刑されるのか」を描き始めるドラマチックな構成。決起を決意する軍人たちのバックボーンが積み上げられていくことにより、冒頭の処刑に意味を与えています。
本編もコメディながら丁寧な描写が目を引く作品ですが、この外伝はそれに臨場感が加わったシリアスな作品。同じ世界の中でも違う人間模様が描かれており、きっと作者様の頭の中でキャラクターが勝手に動き出して生まれた物語なのだろうなと想像しながら拝読させていただきました
『生きている作品』です。オススメ