もし夜空から星が全部見えなくなったら、人はいつまで「星はそこにある」と信じられるのでしょうか。
この作品を読みながら、そんなことを何度も考えました。すごい科学者が全部解決する話ではなくて、石を拾ったり、測ったり、失敗したり、珈琲を飲みながら相談したり。宇宙規模のお話なのに、やっていることが妙に人間くさいのが好きです。
ユキたちは星を探しているのですが、読んでいると、人間が「見えないものを信じる理由」まで探しているように思えてきます。しかも難しい天文学の話の途中に、ちょっと笑ってしまう会話が入るので、私の頭も無事に宇宙迷子にならずについていけました。
星は見えなくても燃えている。では、希望も見えないだけなのでしょうか。
夜空を見上げることが少しだけ違って感じられる、静かに熱いSFです。
【レビューコンテスト応募】
幕間 挑戦状までのレビューです。
星を知らない世代が「光る石」を拾ったことから始まる、骨太なサイエンス・ミステリー
大仰な感傷ではなく、「雑な夢を雑じゃない装置に変える」というエンジニアの誇りや、できない壁に穴を開けようとする若者たちの静かな熱意が胸を打ちます。
砂浜の偶然から始まり、地道な検証や組織との利害交渉、世界規模の連携へと段階的に視界が開けていく構成が見事。
技術の積み重ねの末に『幕間 挑戦状』で明かされる原点の視点が、物語の解像度を一気に引き上げてくれます。
88の星座を揃えた先で彼らが何を見るのか、失われた星空の真実に挑む旅の行方を最後まで見届けたくなる作品です。
理系の緻密な探究と瑞々しい青春が融合した傑作です。
このお話は、世界中の星が夜空から消えた未来で、湘南で若者が「北を向くと光る石」を拾うところから始まる、天文と科学とミステリーの物語です。どうやら星は消滅したのではなく、太陽系を包む約一光年先の暗黒の壁によって、光が遮られているらしいのです。過去の星光を蓄えるスタークリスタルと、星座の配置を刻んだ石版を使えば、壁に穴を開け、星空を取り戻せる可能性があるらしいのです。主人公は元研究員、計測技術者とともに、こぐま座、りゅう座などのクリスタルを集めます。若者たちは、研究組織との交渉や協力、偽情報の流通、仲間を狙う犯罪の影にも向き合いながら、見えない星へ向かう光を積み重ねていきます。さあ、物語はどうなっていくのか、みなさんでおたしかめあれ。