完成度だけ見るのならもっと上手な作品はたくさんある。
もっと正直に言えばこの作品は上手い作品ではない。
いろいろ無理がある。粗もある。推敲も十分とは言えない。それなのに、なぜか読み進めてしまう。何なら、次の作品も読みたい、そう思ってしまった。
理由はたぶん、この文章が生身だから。
エロ本を見て二時間経ってしまうところも、タバコを試しに吸ってみて、むせる。クラクラ。まずい。まずい。と畳みかけるところも、本当はかなり恥ずかしい描写。
普通なら削ってしまうような格好悪さをそのまま出している。結果的に、主人公が急に生身になる。
しかも最後は、「肺はどんなけ黒くなったのかなぁ」という、本当にくだらない、でも十代なら考えそうなことで締める。
この締め方を私は好ましく思った。
人生が変わるような事件ではなく、「ああ、バカだったな」という一日として終わる。その温度感がいい。
そして、ペンネームが「山田死因」
他にどうにかできなかったのかと思いつつも、いかにも高校生らしい。自分の世界を作ろうとしている感じが作品とも一致していて、清々しさすら感じる。
このナツガタリの場で同じような年代の様々なタイプの文章にたくさん触れることになるであろうこの作者が、この先、何を書くのか、非常に楽しみな気持ちになった。
期待を込めてレビューさせていただいた。
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