六歳の鑑定で「回路なし」と告げられ、“無録様”と嘲られてきた貴族三男アルト。
だがその中身は、機械を直して死んだ42歳のエンジニア。
家督整理の末に辺境の廃村リンデへ“名目だけの領主”として捨てられるという、
静かで残酷な追放劇から物語は始まる。
しかし村はずれの祠で、左腕の欠けた絡繰り人形を直した瞬間――
世界が動き出す。
「——千年ぶりに、まともな仕事を見た」
人形に宿っていたのは、忘れられた工匠神ヴェルク。
契約によって目覚める《万象修復》は、触れたものを“あるべき姿”へ還す力。
井戸を直せば水が湧き、屋根を直せば人が集まり、
魔物を治せば――なぜか慕われる。
アルトの信条はただひとつ。
直せるものは、直す。
神様も、世界も。
その素朴な姿勢が、廃村リンデを少しずつ再生させ、“呪われた辺境”に眠る千年の秘密を浮かび上がらせていく。
無能と捨てられた少年が、壊れた神様と共に世界を修理していく物語は、優しさとロマンに満ちた“再生ファンタジー”として唯一無二の輝きを放つ。
世界で一番小さな村から始まる、世界で一番大きな修理の物語。