鬼の少年ゴウキが、りっ子とじいちゃんの暮らす神社にホームステイにやって来た!
人々から嫌われる鬼として生まれ、いずれは鬼の王にならなくてはならないゴウキは、すでにヒトから好かれるという事を諦めちゃってる。
鬼が大好きなりっ子は、ゴウキとトモダチになりたいけど……!
元気で、猪突猛進という言葉がぴったりのりっ子。
彼女が、鬼のイメージアップのために色んな事をするのが、見ていて健気で応援したくなります。
空回りもするし、最初はツンツンしてるゴウキやクラスメイトの男子に読者がハラハラすることも。
彼らの周りを、普通のヒトには見えない邪っ鬼(ジャッキー)たちがふわふわ飛び回っています。
わたあめみたいな彼らジャッキーはそこら中にいて、黒くならない限りは無害な存在。
この世界にも、きっとそんな、目に見えない鬼がいる。
私たち読者も、見えないジャッキーを黒くしないように、色んな楽しい色で満たして地ゴクの鬼を困らせないように。
そんなことをふと思ってしまうような、温かくて優しい、でも強い物語でした!
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南上律子こと『りっ子』は、パワフルで前向きな小学六年生。鬼を祀る『鬼門神社』に暮らす彼女の朝は朝食が並んだちゃぶ台を挟み、孫娘に負けないくらい元気な『じーちゃん』との会話からはじまる。
「りっ子! 今日からわが家に男の子が来るぞ!」
「またホームステイだな! 今度はどれぐらいの期間、いるんだ?」
親のいないりっ子にとっての最大の楽しみは、祖父のはからいによって実施されるホームステイの受け入れ。
今度はどんな子と友達になれるのだろう、と胸を躍らせるりっ子。
しかし今日来る子はなんと『地ゴクの鬼』だという。
なんだなんだじーちゃん、ぼけてしまったのか。孫娘を置いてぼけるんじゃない!しかもご飯が喉につまった!?逝くなじいちゃああああん!!
でもなんとか助かった!あれ、大鎌を持つ和服姿の君は誰だ!?
「だから俺はっ、地ゴクからここへホームステイにやってきた鬼だ!」
──はて。そういえばそんな話、してたような。
***
そんなドタバタで明るい春の日からはじまる、人間と鬼のふしぎなホームステイを描いた本作。なんと上記のシーンがすべて1話にて繰り広げられるという、とてもスピード感ある開幕です(笑)。しかし決して情報過多でもなく、むしろ学校がはじまってからの彼らの生活模様はとても丁寧に進行されていきますのでご安心を。
鬼という存在が大好きなりっ子は、目の前に現れた本物の鬼である『ゴウキ』に大興奮。あれやこれやと質問攻めにし、もちろん友達になろうと呼びかけます。しかしゴウキはなんと、筋金入りの人間嫌い。地獄を統べる鬼族の王子として両親から命じられ、しぶしぶホームステイにやってきたのだそう。それでもりっ子は一切めげず、鬼の王子に猛烈友情アタックをしかけていきます。その一途さ、明るさ、そしてはちゃめちゃさ(笑)には、ゴウキも読者も驚かされっぱなし。
だけどそこがこの作品の魅力であり、力強さでもあります。小学生たちすらどこかドライになってしまった近年において、りっ子の底抜けの素直さはまさに太陽のよう。ゴウキという鬼──友達の魅力を知ってほしい!と学校や町内を奔走するりっ子の姿は、タイパやらコスパやらに日々追われるオトナのささくれた心にじんわり沁みます。ああ、こんな子と友達になりたい。
頑張り屋のりっ子ですが親がいないという境遇から分かるように、彼女なりのさみしさや陰を抱えてもいます。りっ子とゴウキの視点は入れ替わるため、鬼であるゴウキもまた人間──りっ子やクラスメイトたちのことを深く学び、彼らの強さと弱さを学んでいく過程がとても細やかに描かれていきます。ううん、良い。
しかし小さな二人の友情の間に溝を生むのは、古くから続く鬼と人間との因縁。かつて悪さを働き人間たちを追い詰めたという鬼は、りっ子たちの町ではあまり歓迎されていない存在です。それゆえに何かと後ろ向きになるゴウキを見、りっ子は自分の無力に涙することも……。
がんばりすぎて空回り。
言いたいことがうまく言えず、すれ違い。
それでもだいすきな友達のためなら何度だって立ち上がり、ぶち当たる──それが我らが主人公、りっ子ちゃんなのです。
こんな子を応援せずにいられましょうか(号泣)。
でもそんな短いホームステイの終わりの日は、あっという間にやってきます。
人間と鬼の友情の行方をぜひ、ご自身の目でお確かめください。
あー、なんか、明日もがんばろっかな!
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本作は、鬼を祀る神社の娘りっ子と、りっ子の家に1ヶ月間ホームステイすることになった鬼の少年ゴウキの、種族を超えた友情の物語です。
将来鬼の王になるために仕方なくホームステイしにきたゴウキに対し、鬼と仲良くなりたいりっ子は初対面からフルスロットルでぶつかっていきます。
「鬼の良さをみんなに広めたい」りっ子と、「人間と関わりたくない」ゴウキ。
このすさまじい温度差で、はたして二人は友達になれるのでしょうか?
登場人物全員愛おしいお話です。
りっ子とゴウキはもちろんのこと、おじいちゃんやクラスメイトや担任の先生などサブキャラに至るまで、読み進めるほど全員大好きになりました。
特にりっ子のパワフルさが最高です。邪険にされてもへこたれず、常にポジティブ思考で、辛いことがあっても涙を見せずに前を向こうとする。とっても強いけど、強いばかりではない、こちらまで笑顔になってしまうような素敵な女の子です。
『鬼』という異質なものをどう捉えるかということが、本作の大きなテーマのように思います。
鬼であることを隠して学校へ通うゴウキは、この問題に直面します。
恐ろしいものには関わりたくない。悪いものに違いないから嫌い。
こうした人間心理は、クラスメイトの大我という男の子の態度によく表れています。
ゴウキと大我、対立しがちな男子二人に対し、りっ子はどのように立ち回るのか。
それぞれの抱える思いと、変化していく関係性も、大切な見どころです。
ストーリーの緩急が見事で、何度も心を揺さぶられました。
特にラストのお祭りのシーンの盛り上がりは圧巻。素晴らしい感動をいただきました。
たったの8万字弱とは思えないほどの満足感です。
児童書向けのお話ですが、大人が読んでも面白く、大切なことを学べます。
また折を見て読み返したい物語です。みなさんぜひご一読ください。もっともっと多くの方にこの物語が届きますように。
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