塔に幽閉されて育った憂(ペイシャン)は、殺し屋傭兵の黎明(リーミン)に攫われたことで初めて外の世界へ踏み出す。
誘拐のはずなのに、靴を用意し、風呂を用意し、危険から守ってくれる――
口は悪いのに妙に優しい彼との生活は、憂にとって初めての“世界の美しさ”だった。
しかし外には、能力者への差別、奴隷制度、そして憂自身の出生にまつわる重い秘密が潜んでいる。
世界を知らない少女と、世界に傷つけられた男。
二人が歩む先に幸福があるのか――
その問いが静かに物語を照らし続ける。
塔を出た少女が、世界の醜さと美しさを知り、誰かと共に生きる意味を探す、優しくて切ない成長譚。