人知れず悪を討つ仮面の中年ヒーロー。
その相棒は13歳の美少女。
ビジュアルの強さは天下一。
そして描かれる英雄の姿は、真に強く、何ものにも変え難く、魂を揺さぶる。
軽口で彩られながらも
根っこに固く張った信念で繋がる二人の絆は強く。
鋼のワイヤーのように巧みに形を変えながらも結びついたまま離れない。
突き放すような皮肉や悪口の奥にある互いへの思い遣りが堪らず、
信じる者の少ない街で、心から信じられる他人。
真っ直ぐ繋がっている訳ではない。
共通する大事なものが繋ぐ絆。
それでも目の前にいる対象が
まるで魂の分身のように感じる関係。
綴る言葉がしっくりこなくてもどかしいです。
とにかくカッコイイ!痺れる、掴まれる!
重厚であり、心の繊細な部分まで指を伸ばして擽ってくるような文章表現。
頭に展開される映像に、絶妙なタイミングで挟まれていくキャラクターたちの深い心理。
文章で綴られるエンターテインメント!
とにかく熱くで、泥臭くて。
応援したくなるヒーローの姿がここにあります。
世界を変えることは出来なくとも。
彼がいる限り、悪は焼かれる。
己に誓う正しき義の元で進む英雄。
広い背中の後ろに従う小さく真っ直ぐな立ち姿。
ヒーローって、やっぱり良いっ!!!!
イケオジコンテストの応援です。
主人公イケオジの42歳ヴィンセントと13歳執事のクロエ(年齢差わっしょい!)
そんな癖はさておき、この作品はイケオジの作りこみと世界観(ざっくり言うと背徳と悪の転がる悪い街)と出てくる悪役とのワイヤーアクションがたまらなく格好いいのです。
ヴィンセントは魔力はあるけど、ただの女好きで無能な三代目と揶揄されておりますが、この立ち位置がまさに潜入の鍵。表面では穀潰しと揶揄されることで、悪の巣窟に入るための重要な情報を得て闇の中で奔走するのです。
極秘裏に悪人を処刑していくアクションシーンは不必要な部分を削られてリズムよく読めてするする~~っと中に入り込めます(この字の文最低限で抉ってくるところが好き)
一方バディのクロエちゃんはヴィンセントの友人である男の娘さんで、忘れ形見。
クロエは主が周りから「穀潰し」と揶揄されていることを訂正したいのですが、ヴィンセントは大切な彼女に危害が加わらないために立ち位置を変えません。
父親譲りの能力を持つ優秀なクロエはヴィンセントにとって大切なオペレーターであり執事です。
食事のベーコン枚数を増やす増やさないのやり取りにはニヤニヤさせられつつ、シリアス部分はしっかり回収、バトルは臨場感あるテンポのよい文字の引き算。
コメディ部分とシリアスをいい塩梅で入れてくるこの作品の魅力はそう簡単に語れませんが、読み進めていくと、ヴィンセントは周りの人間にプリムストーンであることを隠しつつも、クロエただひとりに理解してもらえればいいのではないかなあと思いました。
ヴィンセントの魅力は表向き、下町から見た姿、夜に溶ける姿、クロエ視点と全部異なります。(このヴィンセントの魅力をうまく伝えられないので、是非本編で!!)
後半のヴィンセントの慟哭にこちらもうるっとさせられましたが、心理面を抉る部分とそこまでの積み重ねがじつに丁寧です。
そして最後に書いておりましたが、一話と最終話の言葉尻をリンクさせる手腕が光る最高の一作です。(慌てて確認しました。やられた!と嫉妬しかありません)
気になる言葉や意味が沢山出てくるので、今後虫食いになっている部分の完成版も非常に楽しみな作品です。
噂によると、この街には『英雄』がいるらしい。なんでも、夜陰に紛れて法では裁けぬ悪党を密かに成敗していく謎の黒衣の男なんだそうな。曰く、普段は執事の少女にしばかれながらぐーたらと過ごす放蕩息子だから誰も気付かないのだとか。
『俺には、泥水の方がお似合いさ』
その男が言ったという台詞……らしい。なんでも、彼は自分が真夜中に行なっているこの活動を『道楽』と捉えているという。決して奢らず、ヒーローを気取らず、ただ一人被害者の悲しみや怒り、心を背負って戦っているらしい。もし本当なら、とてもカッコいいと私は思う。
あくまで噂。だが、これからこの街に足を踏み入れようとするそこのあなたも、この街では真面目に生きたほうが賢明だろう。