ショートストーリー『不謹慎』は、現代社会が抱える「炎上文化」や「過剰なコンプライアンス」に対して、鋭いメスを入れた見事なSF風刺作品です。
物語の舞台は、度重なる政治不信から、人類がAIに国の統治を委ねることを決断した近未来。AIが最初に制定した「誰かを傷つける可能性のある言動を禁止する」という法律により、私たちの日常にあるあらゆるものが次々と「不謹慎」として裁かれていきます。エンターテインメントから、企業活動、スポーツ、そして日常の何気ない人間の感情まで……。果たして「誰も傷つけない世界」を極限まで追求した先には、一体何が待っているのか?
本作の最大の魅力は、そのテンポの良さと背筋がゾクッとするようなメッセージ性です。短い文章の中に、現代人がSNSなどで無意識に感じている「息苦しさ」がギュッと凝縮されています。極端な設定に見えて、「もしかしたら、近い将来こんな世界が本当に来るかもしれない」と思わせる圧倒的なリアリティと説得力がありました。
サクッと読める短編でありながら、読後には深く考えさせられる余韻が残ります。現代のネット社会のあり方に少しでも疑問や疲れを感じている方に、ぜひ一度読んでいただきたい傑作です!