第19話 アレクサンダーの反撃

アレクサンダーが来た。


遺跡の奥深くで縛られていた私は、入り口から声を聞いた瞬間、全身の力が抜けるような気がした。


「来ちゃだめ、罠よ!」


「知ってる」


「知ってるなら――」


「それでも来た」


その声だけで、もう十分だった。


ルーカスの部下たちとの戦いが始まった。狭い遺跡の中で、剣が交わる音が響く。アレクサンダーが次々と相手を追い払いながら、私との距離を縮めてくる。


「船長!背後!」ゴードンが叫ぶ。


アレクサンダーは振り返りざまに剣を薙いだ。すれ違いざまに、私を縛めていた縄を切った。自由になった瞬間、アレクサンダーはルーカスと向き合った。


「やめろ……宝は俺のものだ!」


ルーカスが壁際に追い詰められて叫ぶ。アレクサンダーは剣先を向けたまま、静かに言った。


「お前が欲しいのは宝だけだろう。アリアは欲しくなかったんじゃないか」


「そ、そうだが……それが何だ」


「なら、関係ないだろう」アレクサンダーは剣を引いた。「アリアは俺が連れて行く。宝はアリアが決める」


ルーカスは呆然とした顔で、アレクサンダーを見た。


戦いが終わると、私は駆け寄った。アレクサンダーは自然に腕を広げた。私の頭が、胸に当たる。


しばらく誰も何も言わなかった。


「……来てくれた」


「来ると言っただろう」


「言ったわね」


「俺が口にしたことは必ずやると、何度も言った」


「……うん、知ってた。知ってたけど」


「だが、心配したか」


「……少しだけ」


「正直だな」


「あなたの影響よ」


アレクサンダーは小さく笑った。


「怪我はないか」


「ない。あなたは」


「ない」


「嘘くさい」


「本当だ」


「あとで確認するわ」


「好きにしろ」

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