第12話 6年ぶりの里帰り

レイアの活躍?

…の、お陰で北西の森を抜けた俺達は、ようやくレノーム村の跡へと到着した


ボロッ


村の入り口の門があった場所にある燃えカスとなった柱に手を触れると、粉々になって砕けた


「………」


「ね、ねぇノーム、義父様と義母様のお墓のお参りしてこ」


アリシアが隣で優しく微笑んでくれる


「あぁ…うん、そうだねアリシア」


「いこ!」


俺の手を取り廃墟となった村の奥へと駆け出した


「あっちょっとアリシア!」


レイアが追いかけようとするルシアの肩を掴んだ


「!?レイア何を!」


首を横にふるレイア


「決めたでしょ、今のノームの奥さんはアリシアよ」


「!?レイアはそれで良いの!?いくら水の精霊王が第一妃だったからって―――」


「ルシア!……生命の源たる大地の精霊王がその御力を最大限に使うには、まず初めにその生命に恵をもたらす水が不可欠なの」


レイアが少しだけ寂しそうに二人の背中を見つめる


「―――大地に命の恵をもたらすは水、命を育むは炎、命を運ぶは風」


レイアの隣に立ち、同じように二人の背を見つめながらルシアが呟く


「覚えていたのね…その言葉」


「忘れるはずは有りませんわ…だって――――」


「”私ら”の大事な旦那様が、私らを想って贈ってくれた言葉なんですから」


レイアがそっとルシアを抱きしめる


「やめて下さいな…子供扱いは」


「フフフフ、子供でしょ…今は―――」


「………まぁ今はそういうことにしときましょう」


――――そこは白竜胆の花が咲く小高い丘


そこに一本だけ生えてる桑の木…かつて、その木は少年ノームの秘密の場所だった…


人口60名程の小さな村に同年代の子供がおらず、

一緒に遊ぶ友人も居なかったノームは、畑仕事の手伝いを終えた後に

ここで一人本を読むのが唯一の楽しみだった。


『まぁノームたら、またお父さんの本を勝手に持ち出して』

『いいじゃん、ちょっとくらい!』


あの頃の思い出が脳裏によみがえり

思わず笑みがこぼれる……


「父さん、母さん…ただいま…」


墓石として埋めた石の前に膝をつき両手を合わせて祈りを捧げる


「義父様、義母様…お久ぶりです―――あの時とは違って今はノームの妻としてご挨拶させて頂きます」


アリシアも隣で一緒に両親の墓に参ってくれる


「村の皆もただいま…なかなかお参りにこれなくてごめんよ」


桑の木の周りには無数の石が埋められている

それらは全て村人の墓石だ


―――墓碑銘も何もないただの岩…だが、それでもここはレノームという小さな村が存在したという証


そしてその墓石を囲うように咲いてる白い花…白竜胆


「皆、ごめんね、少しだけ白竜胆を貰っていくね………」


俺は白竜胆を数輪だけ根っこから抜くと、アリシアにお願いしてストアに収納してもらう


「ノーム義兄様ぁ――――」


「フフフフ、いつきてもここは見晴らしがいいわぁ―――」


ルシアちゃんとレイアさんが丘を登ってくる


「さぁルシアちゃん、私らもノームちゃんの義父様と義母様に御挨拶と祈りを……」


「かしこまりましたわ」


レイアさんは跪き祈りを捧げる…

ルシアはその場で両手を併せ祈りをささげた


「風の精霊王シルフィス…その御身の駆ける聖なる風に乗せ、大地に生まれし尊き命を天へと返し、新たなる命へと帰せる道となせ…」


聖女ルシアの聖なる風の祈りだ…淡く翠に輝くルシアの身体から無数の緑の光が浮き上がり、皆のお墓の周りを漂いながら消えた。


「ありがとう、ルシアちゃん…超越職聖女様による聖なる祈り…きっと皆も喜んでくれてるよ」


「フフフフ、このくらいノーム義兄様のご両親と故郷の皆さまの為なら易い物でございますわ」


ふとアリシアの方に視線を向けると、桑の木の枝に刻まれた文字にそっと触れていた


「あぁ…これまだ残ってたんだな」

「あ、ノーム!うん、もうあれから6年になるんだね―――」


《次来るときはノームの奥さんとしてご挨拶します》




―――あぁ―――あれからもうそんなに経つか

あの日、皆と家族になれたから今の俺があるんだ……


そう、あの日、神秘的な泉で出会った黄金の髪を煌めかせた天使アリシアと出会ってから――



§ 一章完 §


―――――――――――――――――

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