まずお断りを、このレビューは序盤だけ読んだ勢いでオススメしています。
いてもたってもいられなくなった、とも言います。
本作はあらすじにあるように、基本設定やプロットを人間・本文執筆をAIが行なって書かれている作品とのことですが「今ってAIでここまで文章書けるのか」と感心してしまいました。ええ、ほんとに。
というより最早、ここまでくればほとんど人間の実力で書かれた作品と言ってしまって差し支えないのかも知れません。
肝心の作品内容なのですがざっくり表現すると、
『弱小スーパーの神様に転生してしまった主人公:零が店長をしながらスーパー閉店させないため、地上げに来た他の神様といった存在に【賞味期限操作】を使い渡り合う』
という物語。
一見するとギャグ作品のようなあらすじですが、そうとも言い切れない描写が目につきます。
転生前の零の荒んでいた頃の独白とそこから転生しての再生のシーンはまだまだ序盤でありながらも自分の心が躍ったのが分かりました。
それほどまでに本文の描写が克明で“すごい”のです。
最初に述べたように筆者は今後どのように話が転ぶのか知らずに書いているワケですが、
それでもこれだけは言えます。
オススメです。
スーパーの弱小神へと転生した主人公に与えられた権能は、まさかの「値引きシール」!この一見ハズレな能力を駆使し、大手資本系の格上神様たちを次々と「見切り品」にしていく下剋上展開が最高に痛快です。
最大の魅力は、抜群のテンポとサクサク読める1話完結の構成。毎回しっかりとした起承転結があり、クスッと笑える「日報」で締めくくられるセンスに脱帽します!
説明を最低限に削ぎ落とした独特の世界観は、読み進めるうちにスッと馴染み、気づけばその空気感の虜に。特に敵キャラたちのネーミングや仕草は、劇場版アニメの愛すべき悪役のようなユーモアとセンスに溢れています!
キャラクターの余白を想像する楽しさもあり、軽快な言葉選びで最後まで全く飽きさせません。笑えて元気をもらえる極上のエンタメを味わいたい方に、全力でおすすめしたい一作です!
「AIが書いた小説」と聞いて、正直ちょっと粗探しをしてやろう、と思って読み始めましたが、良い意味で完全に裏切られました。
結論から言うと、普通に商業レベルのめちゃくちゃ良質なライトノベルです!
特に良かったポイントや「もう一歩!」な部分を、簡潔に語っていきます。
1. とにかく「読みやすい」
文章のテンポが抜群に良くて、言葉選び自体にちゃんと面白みがあるから、読んでいるだけで純粋に楽しい。引っかかりがなく、中高生でもサクサク読めるという軽快さがあります。
構成もすごく上手です。
1話完結型だから、読んでいて短時間でサクッと読める
にも関わらず、1話の中にちゃんときれいな起承転結がある。
毎回しっかり盛り上がるし、「この先どうなるの?」という訴求力がたしかにある。
さらに、短編の最後を「日報」で締めるスタイルが、この作品のすごく良い個性(味)になってる!日報の中にその回のおさらいがコミカルに入っていて、ユーモアを感じます。
2. キャラクター設定について
神様が出てくる独特の世界観は、ぶっちゃけ最初「ちょっととっつきにくいかな?」と思いました。1〜2話は丁寧な説明がないまま「こういう世界ですから!」と進むので、最初は少し置いてけぼり感があるかも。
独自設定が多いラノベって説明過多になりがちだけど、この作品は説明を【必要最低限】に絞り込んでいて、その塩梅が逆に良いと思いました。本当にこれ以上減らすと『?』なんですが、ギリギリなので、『うん、わかんないけどこういうノリだな』から徐々に空気感が馴染んで自分のものになる。なんというかそういう感じ(?)です。
アニメの『京騒戯画』を見ている感じにちょっと近いかも知れません。
ちょっと説明足りない。でもわかるし、そのうち全部好きになる。
ストーリーの整合性もバッチリで、土台が安定しています。
キャラクターの作り込みも、特に「敵(エターナル)側」のセンスが光ってます。
役職、能力、ネーミングのユーモアセンスが抜群。
敵のちょっとした仕草や所作にも、独特の世界観が乗っている。
うん。なんか劇場版のクレヨンしんちゃんの敵キャラというか。馬鹿まじめにちょっとふざけてる感じです。これコンセプトとしてわざとやってるんだったら、とても面白いです。
一方で、主人公をはじめ味方陣営は全体的に「薄味」な印象。
主人公はすでに死んでいるキャラということもあって、感情移入に時間がかかるかも(過去話が小出しにされるたびに「なるほど」と納得はできるけれど!)。
ただ、この薄味感は設定不足というより、意図してあえてアッサリさせているんだと思います。
ここからは私の個人的な意見です。スルーして下さい。
私の個人的な「改善案」としては、
物語の進行に支障はないけれど、「ここをもうちょっと補強したら、もっと化けるのでは?」と思ったポイントが1つだけ。
それは、人物の見た目(ビジュアル)の描写がちょっと足りないこと。
引きこもりの翔や、公務員の葵の見た目の描写がほとんどないため、読者の想像力に丸投げされている状態です。「ラノベだし、どうせ挿絵があるでしょ?」と言われればそれまでだけど、やっぱり文章だけでも少しフックが欲しいところ。
たとえば、私だったらこんな工夫をプラスします。
登場人物の行動(動詞)に、性格や特徴を表す修飾語を1つ添えて個性を印象づける。
クーちゃんに「神様っぽい装飾」や「キツネを思わせる目元のメイク」など、ビジュアルの個性を文章で1、2箇所だけでも付け足す。
主人公も紛いなりにも神様なので、神様っぽいビジュアル要素をちょっと入れても良いかもなーと思いました。
これだけで、キャラクターがもっと読者に愛される存在になるはず!
物語全体としてとても楽しめました。
何より、「AIの文章やストーリー構築に全く破綻がない」という事実に一番衝撃を受けました。怪しい表現も一切ないし、このレベルの作品がポンと出てくるなら、今後は「むしろ信頼できるからAI作品を優先して読もう」という時代が本当に来る予感がします。
楽しい作品をありがとうございました。