「AIが書いた小説」と聞いて、正直ちょっと粗探しをしてやろう、と思って読み始めましたが、良い意味で完全に裏切られました。
結論から言うと、普通に商業レベルのめちゃくちゃ良質なライトノベルです!
特に良かったポイントや「もう一歩!」な部分を、簡潔に語っていきます。
1. とにかく「読みやすい」
文章のテンポが抜群に良くて、言葉選び自体にちゃんと面白みがあるから、読んでいるだけで純粋に楽しい。引っかかりがなく、中高生でもサクサク読めるという軽快さがあります。
構成もすごく上手です。
1話完結型だから、読んでいて短時間でサクッと読める
にも関わらず、1話の中にちゃんときれいな起承転結がある。
毎回しっかり盛り上がるし、「この先どうなるの?」という訴求力がたしかにある。
さらに、短編の最後を「日報」で締めるスタイルが、この作品のすごく良い個性(味)になってる!日報の中にその回のおさらいがコミカルに入っていて、ユーモアを感じます。
2. キャラクター設定について
神様が出てくる独特の世界観は、ぶっちゃけ最初「ちょっととっつきにくいかな?」と思いました。1〜2話は丁寧な説明がないまま「こういう世界ですから!」と進むので、最初は少し置いてけぼり感があるかも。
独自設定が多いラノベって説明過多になりがちだけど、この作品は説明を【必要最低限】に絞り込んでいて、その塩梅が逆に良いと思いました。本当にこれ以上減らすと『?』なんですが、ギリギリなので、『うん、わかんないけどこういうノリだな』から徐々に空気感が馴染んで自分のものになる。なんというかそういう感じ(?)です。
アニメの『京騒戯画』を見ている感じにちょっと近いかも知れません。
ちょっと説明足りない。でもわかるし、そのうち全部好きになる。
ストーリーの整合性もバッチリで、土台が安定しています。
キャラクターの作り込みも、特に「敵(エターナル)側」のセンスが光ってます。
役職、能力、ネーミングのユーモアセンスが抜群。
敵のちょっとした仕草や所作にも、独特の世界観が乗っている。
うん。なんか劇場版のクレヨンしんちゃんの敵キャラというか。馬鹿まじめにちょっとふざけてる感じです。これコンセプトとしてわざとやってるんだったら、とても面白いです。
一方で、主人公をはじめ味方陣営は全体的に「薄味」な印象。
主人公はすでに死んでいるキャラということもあって、感情移入に時間がかかるかも(過去話が小出しにされるたびに「なるほど」と納得はできるけれど!)。
ただ、この薄味感は設定不足というより、意図してあえてアッサリさせているんだと思います。
ここからは私の個人的な意見です。スルーして下さい。
私の個人的な「改善案」としては、
物語の進行に支障はないけれど、「ここをもうちょっと補強したら、もっと化けるのでは?」と思ったポイントが1つだけ。
それは、人物の見た目(ビジュアル)の描写がちょっと足りないこと。
引きこもりの翔や、公務員の葵の見た目の描写がほとんどないため、読者の想像力に丸投げされている状態です。「ラノベだし、どうせ挿絵があるでしょ?」と言われればそれまでだけど、やっぱり文章だけでも少しフックが欲しいところ。
たとえば、私だったらこんな工夫をプラスします。
登場人物の行動(動詞)に、性格や特徴を表す修飾語を1つ添えて個性を印象づける。
クーちゃんに「神様っぽい装飾」や「キツネを思わせる目元のメイク」など、ビジュアルの個性を文章で1、2箇所だけでも付け足す。
主人公も紛いなりにも神様なので、神様っぽいビジュアル要素をちょっと入れても良いかもなーと思いました。
これだけで、キャラクターがもっと読者に愛される存在になるはず!
物語全体としてとても楽しめました。
何より、「AIの文章やストーリー構築に全く破綻がない」という事実に一番衝撃を受けました。怪しい表現も一切ないし、このレベルの作品がポンと出てくるなら、今後は「むしろ信頼できるからAI作品を優先して読もう」という時代が本当に来る予感がします。
楽しい作品をありがとうございました。