殺し屋ではありませんが……GUNSLINGER GIRL、リコリス・リコイルみたいに、綺麗な女の子が銃を持って戦うダーク・ファンタジーになります。
ただし戦う美少女は主人公のみで、彼女は軍隊所属の少女兵です。そして、主題は恋愛なので分野としてはダーク・ロマンス。
しかも筆力は高く、後述しますが重厚な世界観や地についた魅力的なキャラクターと説得力がある。ので、かなり完成されているダーク・ロマンスと感じました。
舞台はヴィクトリア朝以降のヨーロッパ世界をイメージした世界。戦争まわりの設定は第一次世界大戦をイメージしているもよう。
主人公は元孤児の少女兵、ヴァイオレットさんです。
本作の世界観では、女王家系の血筋にあらわれやすい、アルビノな外見をし、孤児院から救い出してくれた軍人ランドルフさんに依存的な愛情を抱いています。
前述した通り、主題は恋愛で、恋愛ということは最低ふたり必要です。そしてそのふたりが、
ランドルフさんに捨てられたくないと必死なヴァイオレットさん
と、
とある事情からアルビノが嫌いと断言するランドルフさん
のおふたりです。
ヴァイオレットさんが必死にくらいつくお相手であるランドルフさんは、とある事情から過去を引きずっていて、ヴァイオレットさんにだいぶ冷たい。(この事情はぜひ直接ご確認ください)
娼婦のアンジェリカを頼ったりと必死なヴァイオレットさんの様子をみていると、読者は胸を締め付けられます。
そして次第にふたりの関係が変わっていくと、読者はこう感じることでしょう。「歪んでいる」。しかし皮肉なことにも、この歪みが本作のダークな魅力を引き立てています。
世界観は綿密に練られていると感じさせられます。くどくど説明されるような場面はないのですが、ふとした台詞や地の文に説得力があるのです。キャラクターたちも、その言動や装い、態度など、細かいところでその世界に根付いていると感じさせられます。しかも説得力があるだけでなく、キャラクターが魅力的。娼婦のアンジェリカ、女王のエグランタインをはじめとして、主役でない方々がみんな素敵で惹き込まれます。
ゆえに、安心してヴァイオレットさんとランドルフさんの歪んだ、共依存とも言えるダークなロマンスに集中できる。飽きることなく、読み進めることができる。素晴らしいことです。
お勧めです。
未読の方は本当にもったいない。ダークな世界観がお好きな方はぜひ、ご一読ください。これを無料で読んでよいのか?と逆に申し訳なくなるかもしれません。