恋人も仕事も失い、人生の底に転がったアズマの前へ現れた、黒髪赤眼の美少女シュウ。最悪で胡散臭い出会いから始まる2人の掛け合いは軽快で、思わず笑ってしまいます。けれど、何気ない言葉や仕草に滲む孤独を知るほど、ただの痛快なバディ物語では終わらないことに気づかされます。
現代の歓楽街と『往生要集』に描かれた八大地獄を重ねた世界は、禍々しくも鮮烈。戦闘は映像が浮かぶほど迫力があり、少しずつ明かされる謎と各話の引きに、ページをめくる手が止まりません。
それでも本作のいちばん美しいところは、地獄の恐ろしさではなく、見捨てられた者たちが互いを見つけ、手を差し出す温度です。「裁く」物語はやがて、「誰かを覚えていること」「誰かと生きていくこと」の物語へと深まっていきます。
刺激的な題名の奥に隠されていたのは、驚くほど切実で優しい願いでした。
怖いのに笑えて、痛いのにあたたかい。読了後、タイトルがまったく違う響きで胸に残る、忘れがたいダークファンタジーです。
私も頑張ろうと思えました。