「書く」という行為は夢なのか、それとも呪いなのか。
本作は、小説家に憧れ、その死をきっかけに自分自身の才能と向き合わざるを得なくなった青年の喪失を静かに描いています。
評価されない焦燥、生活に追われる現実、それでも捨てられない憧れ。
その苦しさが、万年筆やインク、夕立といったモチーフを通して一貫して描かれています。
そして、この作品で私が一番面白いと思ったのはこの作品のテーマそのものです。
主人公は「先生になりたい」と願っていましたが、最後には「先生のようになろうとしたこと自体が呪いだった」と気づき始めます。
つまり、この小説自体が「誰かの影響を受けて書くこと」から「自分自身を書くこと」へ向かう物語になっているんです。意思表明のような作品になっている。
だから読んでいて、「作者自身も今、その途中にいるんだろうな」と感じました。
おそらくこの作者様は、たくさん本を読んできた。
だからこそ、その蓄積をどう自分のものにするかという葛藤が、この作品にはそのまま表れているように思います。
高校生の作品として、そしてこれから、大きく羽ばたく可能性を秘めた作家の作品として、とても興味深い一編。
ぜひいろんな人に読んでいただきたいです。
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