偶然見た配信から始まる、さえない大学生と、少年の姿をした毒舌な人形の出会い。
古い文具店に佇む人形は、人間になるために人の感情を食べる宿命を背負っています。
店の古いステンドグラスの模様が、大学のテキストで見たプルチックの感情の輪と偶然一致していることに気づいた主人公は、その図柄に沿って感情を集めます。
二人が心に欠けた色を集める姿は、どこか孤独を抱えながら、本当の幸を探して夜の銀河を旅する者たちを想起させます。
現代の複雑な心理学とは少し噛み合わない、時代に取り残された古典的なその図表。
しかし、割り切れないはずの心を八色に当てはめるその歪みこそが、不完全な人形にはぴったりなのかもしれません。
この不思議な巡り合わせを頼りに、まるで金色のガッシュで、新しい術を一つずつ覚えていくように、二人が手探りで心の色を揃える様子が丁寧に描かれます。
それは赤いスイートピーのように、かつては存在しなかった特別な色を獲得していく軌跡のようです。
アンティークな調度品や、品の良い文具の雰囲気、花言葉のモチーフが静かに心を潤わせます。
傲慢なのに愛らしい人形と、控えめなのにお節介な主人公との掛け合いも小気味よく、読後に柔らかな余韻が残る一作です。
主人公が偶然見つけたアプリの画面、そこには不思議な少年の人形と、愚痴を吐くようなコメントの数々
その後偶然見つけた芳信堂という文具店の中にあの奇妙な少年の人形、誘われるように入ると人形が話出して…
ケレン味の強い出だしから入るこの作品はどこか物憂げでどこか俗っぽくて
芳信堂の店主の子供にならないといけないという、悲劇的なエピソードかと思いきや人形が目を覚ましたことで少し笑ってしまうような感じなのが逆に良い
そして人間の感情を食べること、その効果が明らかになる、この少し毒舌な少年人形の綴と不可思議に巻き込まれたややお節介焼きの主人公の奏人がどのような物語を鮮やかに紡いでいくのか気になります!