万年最下位球団(近江マイコーズ)が主人公(森GM)の手によって成り上がる。スポ根魂とデータ野球が熱く噛み合った稀有な作品です。
野球ネタ、なんJを彷彿とさせるファン掲示板、選手たちの感情や、野球に対する美学、熱量。
作者様が野球好きということもあり、随所に見られる描写が野球ファンである私の心も震わせてくれます。
見どころはなんと言っても、主人公のステータスオープンで導かれる選手たちのシナジーのカタルシスです。
セイバーメトリクス、データ野球やマネーボールと言われると、少し取っ付きづらい、スポーツには味気がない、ビジネス目線すぎる等々。冷たい印象を受ける方もいらっしゃると思います。
では、視点を少し変えてみましょう。データとは可能性です。まだ稼働しきれていない人間の隠れたポテンシャルです。使い方や運用方法を示せば選手たちはそれに応えてくれます。
この選手なら何番が適任だ、守備重視ならこの選手、打撃、走塁、守備、今まで見向きもされなかった可能性を白日の元にさらけ出し、躍動する選手たちが栄光を駆け上がる。
自分の隠された力、秘めた才能を最大限ぶん回したい。これは野球だけに限らず、誰しもが考えることではないでしょうか?
ボタンを掛け違えることもなく、外に出かける際に羽織ったジャケットのジッパーを、何の引っかかりもなく引き上げる快感がこの作品にはあります。
『でも指標と言われてもよく分からないよ!! 』
そう仰る方、不安なマイコーズファンの皆様、安心してください。この作品はセイバーメトリクスで使用される用語をエピソード毎に解説してくれます。新規様にも手厚い優しい設計です。
可能性を形に。
最下位のチームが大きな弧を描き、弾けそうな煌めきを琵琶湖の空高くまでぶち上げる物語。
観戦チケットはお渡ししました。歓喜に湧くダイヤモンドを一緒に見届けましょう。
弱小野球チーム、近江マイコースのGMに転生した主人公。弱小チームなので人気もなく、成績が振るわなければ主人公も職を失ってしまう。そんな危機の中、転生時に芽生えた野球に関する相手のステータスを見ることができるスキルを活かしてチームを立て直すことに!
まず、GMがなんなのかもわからなかったくらい野球には詳しくない私ですが、少しとぼけたモノローグや主人公と他の人物の掛け合いが面白く、笑ったり時にじんとしたりしながら読み進めています。
特に好きなのが応援掲示板のリアルさ!
なんだか現実にこのファンたちが存在するような気持ちになって、一緒に主人公率いるマイコースを応援してしまいます。
用語解説もありますので、野球のことをあまり知らなくても楽しめます。
野球が好きな方も、イケオジが好きな方もぜひどうぞ!
この作品は端的に言うと、セイバーメトリクスのない世界で、それを用いてある球団を強豪にしていく話です。
もう少し詳しく話すと、以下のような物語です。
主人公は死んだあと、ある世界に転生し、弱小球団のGMになります。
彼はステータスチートという、見ただけでその選手セイバーメトリクス指標を知ることができるという能力を得ます。
周りはデータの収集も分析もあまりやっていないので、主人公はGMの立場から球団を一気に強くしていきます。
最近の野球、特にメジャーリーグとか見てる人にとってはセイバーメトリクスはもはや当たり前のものでしょうが、野球をあまり見ない人にとってはまだまだあまり馴染みがないものなのではないかと思います。
しかし、大丈夫です。エピソードの最後に毎回、用語の解説があります。
主人公の会社の副社長の若月舞子は癖が強いけど、魅力的なキャラで、主人公と彼女の会話は軽妙でクスッと笑ってしまいます。
この作品は面白い上に現代野球のことを勉強できるお得な作品なので、野球が好きな人もそうでない人も是非読んでみてほしいです。