よれよれのスーツ姿のおっさんが、使い慣れた皮の鎧を纏った瞬間に、歴戦の傭兵らしい渋みのある佇まいに変わるシーンなど、魅せ方が素敵でギャップ萌えが止まりませんでした。
すっとぼけたところで娘に張り合ってくるママさんも可愛かったですし、一途そうなエルフさんとの恋が果たして成就するのかも気になりました(成就させてあげて欲しいな)。
他にも素敵なキャラクターがたくさん登場していたので、コンテスト入賞の暁には、またこの愛すべきキャラクターたちの続きが読めたら嬉しいなと思っています。
バンちゃんの好物をはじめとした、グンマーに近接した栃木推しも楽しかったです。
この作品は、異世界へ消えた家族を探す冒険を通して、「本人にとって本当の居場所とは何か」を丁寧に描いた物語だと思います。
特に印象的だったのは、雪菜が学校で孤立しないよう必死に周囲へ合わせていたことを明かし、不登校になった兄へ酷い言葉をぶつけたことを後悔する場面です。
秋永が、学校に残った雪菜も、苦しい場所から逃げた敬斗も、生きるために違う選択をしただけだと語ることで、単純にどちらかを正しいと決めつけない作品の温かさが伝わってきました。
また、異世界で英雄となった敬斗を前に、母親が無理に現実世界へ連れ戻さず、息子が自分の意思で帰る日を待つと決めた場面も印象的です。
行方不明の息子を発見すれば連れ帰るという単なる救出物語ではなく、家族だからこそ本人の成長と選択を信じるという結末には、物語の芯がしっかりと表れていると感じました。
市役所の異世界課というユニークな設定や、元勇者でありながら公務員として働く秋永の存在も楽しく、コメディと家族ドラマが自然に組み合わされています。
家族の愛情と、それぞれの居場所を尊重する物語を求める人にはオススメの作品です。