妖刀の力

龍家の庭にて二人の男が対立する。

それは鞘家を救う事が出来る程の力を宿しているかどうかを見る為の試験である。

今回の戦いに置いて鞘家が勝てば、素直に匿う事となる。

龍家の人間が勝利した場合は、鞘家の生き残りと共に戦う事。

そして、鞘家側の人間は当然、鞘鍔鳴が出る。

対して彼と戦うのは龍家の人間である、屍人骸だった。


「取り敢えず、ノばせば良いんすね?」


屍人骸は鞘鍔鳴を指差しながら言う。

そうだ、と龍憂媚は頷くと、屍人骸は指を鳴らした。


「なら、お前に恨みはねぇが、ヤるぜ?」


屍人骸の宣言に、先程とは打って違い真剣な顔つきをする鞘鍔鳴。

腰元に携える刀を抜き放ち、光に反射する白銀の刃を屍人骸に向ける。


「両者、良いな?それでは……始めぃ」


その言葉と共に、屍人骸が蹴り上げる。

体内から膨大な妖力を放出して肉体を押し上げる様に加速。

即座に鞘鍔鳴の元に接近した後、その動きに反応を示す鞘鍔鳴。

刀を振るい、屍人骸に向けて斬りかかる。


(武器如き、妖力の圧で弾き返して……)


その思考が完結するよりも早く。

屍人骸の妖力が切裂かれる。

妖刀の刃が肌に食い込み、辛うじて皮膚一枚を切った。

即座、屍人骸は体を逸らして攻撃を回避した。


「へぇ、おもしれぇ」


屍人骸は自らの皮膚を斬った刀に目を向ける。


「妖力の防御自体を無効にすんのか?……いや、妖力を喰らうのか、その武器は」


妖刀は妖力を斬る。

切り捨てた分の妖力を刀の強化に使う。

妖力の放出が多ければ多い程に不利となる。


通常の妖具とは違い鞘家の銘が刻まれる妖刀に備わるデフォルトの効力。

妖力による放出で防御を行う屍人骸では簡単に切り裂かれるだろう。


「まあ、だからと言ってなんだ?って話だけどよ」


屍人骸は肉体から大量に放出した妖力を体内に留まらせる。

妖力操作は一級品である屍人骸は本来、微かに漏れる妖力すらも完全に遮断した。


(美しい)


その一連の動きを見ていた鞘鍔鳴は感嘆を漏らす。

暴力の化身とも思える膨大な妖力を一瞬にして鎮めて見せた。

内側に秘める妖力が全身を巡り強化されている。


瑞々しくリップクリームを塗った柔らかな唇を濡らす様に舌なめずりを行う鞘鍔鳴。

腰を落として腰元に携える鞘に妖刀を収めると居合の型を取った。


(妖刀術・死地天)


屍人骸とは違い体内から放出する炎の様な妖力を纏う。

この妖力に接触した対象を強制的に斬る抜刀術。

彼の行動に屍人骸は散歩をする様に歩きながら鞘鍔鳴の元へ向かう。

そのまま屍人骸が鞘鍔鳴の領域に侵入した、その認識と共に刀を振るう寸前。


「っ!?」


一瞬にして屍人骸が鞘鍔鳴の前に立つ。

刀を振るおうにも屍人骸が接触して振るう事が出来ない。

間合いを潰され、後退しようとする鞘鍔鳴。

だが、この機会を屍人骸は決して逃す事は無く。


「暫く潰れてろや」


男性であれば即死に近い一撃。

スカートの奥にある体外へ排出されつつある臓器。

所謂睾丸……素早く蹴り上げた屍人骸の脚部が鞘鍔鳴の敏感な部分に致命傷を与える。


「ひゅっ… ?!」


声を漏らす鞘鍔鳴。

股間から鋭い電流の如き痛みが全身を駆け巡る。

同時に得も言えぬ快楽が脊髄から脳髄へ向かい幸福の成分が分泌。

興奮と絶頂を覚えながら股間を抑える鞘鍔鳴はその場に女の子の様に座り込み肩を大きく息を行う。


「ひっ、ひゅーっ……ッぅぅっ」


頭の中が真っ白になりながら痛みに悶える鞘鍔鳴。

膀胱が衝撃と共に体液が溢れ出し庭を濡らしていく。


「おお、痛そう、男として同情するぜ、ご愁傷サマ」


屍人骸は自分が行ったのに対して醜悪な笑みを浮かべていた。

そのまま腰を浮かせた状態で頬を地面に着く鞘鍔鳴は細い瞳で熱を帯びる視線を屍人骸に向けていた。

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