Web小説やライトノベルにおいて、テンポ感は命ですが、その「切り捨て方」がユニークですね! 「シリアスな交渉の邪魔にならないよう、美奈子ちゃんをサクッと帰らせる。」・「雑魚狩りなので妖魔戦はカットしていきます。」とナレで言い切って、一気に東京編へ移行するから、一番魅せたいであろう「クーリと灯香の対話」、「物語の本筋(天叢雲剣の謎)」に描写力を集中させています。
クーリは邪竜を退けるほどの吸血鬼なのに、中身が「極上のヒモ」「完全なる性欲駆動」という俗っぽさが…。かといって、美奈子にさりげなく金を置いていく優しさや灯香のプレゼントに無邪気に喜ぶ大型犬のような可愛さがあり、憎めない女たらしみが良い。逆に灯香は凛とした美人で高い信仰心と倫理観を持っている巫女……と思いきや、目的のためなら「メンチを切りながらキスをする」「逆ギレ気味に凄む」という、意外と脳筋で猪突猛進なところがめちゃくちゃ可愛いです。クーリの露骨なセクハラを「下品ですよ」の一言で流すスルースキルも良き。
後半で明かされる「東京大結界」や「三種の神器・天叢雲剣の紛失」によって、日常のラブコメ調から一気に「国家規模の危機を追うバディもの」になるので、ここから現代ファンタジーになるのかな? 今のところは恋愛・ラブコメのタグでもイケそう!
一部は、別サイトじゃないと読めないそうなので、気になる方は是非そちらへ!
タイトルの、テンポ・リズム感の心地よさ!
「着流し女たらし吸血鬼」、何度も言いたくなりませんか。
着流し!女たらし!吸血鬼!
本作は、不届きな吸血鬼と、神聖な「巫女」という、本来交わるはずのない二人の怪しげで妖艶な関係性で紡ぐ、和風伝奇となります。
和 × 吸血鬼の妖艶な世界観とキャラクター性にセンスが光っており、主要キャラ2人の距離感が、徐々に縮まっていく過程が、非常に丁寧に巧く描写されています。
作者様の手腕としては、五感に響く色気のある文章表現であり、吸血鬼の仕草や巫女の凛とした佇まい、夜の静寂や空気の冷たさなどが、非常に美しく表現されている点です。
そして、タイトルどおりに、軽薄で不真面目に見える吸血鬼が、巫女に対してだけは見せる執着や、普段の余裕が崩れるほどの想いを存分に堪能することができます。
着流しを粋に纏う不埒な女たらし吸血鬼と、気高く神聖な巫女が、種族と立場の境界を越えて妖しくじれったい恋の駆け引きを繰り広げる、大人のための和風伝奇ロマンファンタジー。
伝奇としては王道の吸血鬼ものに、アクセントをつけた本作、タイトルで興味をひかれた方はぜひお読みいただければと思います。
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