第3話

友達から送られてきた一つの連絡先。


画面に表示された名前を見ただけで、心臓が大きく鳴った。


「たくみ先輩」


本当に送っていいのかな。


迷惑じゃないかな。


覚えてないよね……。


何度も、何度も書き直す。


指が震えて、なかなか送信ボタンを押せない。


「えいっ……!」


思い切って画面をタップした。


『突然すみません。

中学校で一つ下だった、みゆです。

成人式で先輩の話になって、連絡先を教えてもらいました。』


送った瞬間、全身の力が抜けた。


「どうしよう……。」


スマホを置いては手に取り、また画面を開く。


返信、まだかな。


既読になったかな。


通知が鳴るたびに胸が高鳴る。


気づけば、ずっとスマホを握りしめていた。


数時間後――。



LINEの通知が鳴った。


「きた……!」


震える指で画面を開く。


『たくみです。

よろしく。』


たったそれだけのメッセージなのに、胸がいっぱいになった。


そして続けて届いた言葉。


『ごめんね。

中学校の時のことは、覚えてないかな。』


……やっぱり。


少しだけ期待していた自分がいた。


「実は知ってたよ。」


そんな奇跡みたいな言葉を、どこかで期待していた。


でも、そんなわけない。


私はただ、遠くから見つめていただけなんだから。


少しだけ寂しかった。


それでも、不思議と悲しくはなかった。


今は、こうして話せている。


それだけで十分だった。


彼氏になってほしいなんて、そんな贅沢なことは思っていない。


ただ、一度でいい。


先輩と笑って話して、一緒に遊べたら、それだけで幸せ。


中学生の頃には叶わなかった夢が、少しずつ動き始めていた。

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