タカハシから連絡がきた。だから彼女は、夜行バスに乗る。八時間かけて。
この二人が何なのか、読んでいる間じゅう分かりません。たぶん読み終えても分からない。でもそれは、曖昧だからではなくて——その関係を指す言葉が、まだ世の中に無いからです。恋、愛、友情。どれを当てても、少しずつ嘘になる。
そして凄いのは、この物語でいちばん濃い場面が、たった2センチの距離で起きること。派手なことは何ひとつ起きないのに、読んでいるこちらの息が浅くなります。
読み終えてから、いちばん最初の一段落に戻ってみてください。あの蝶が、少し違って見えるはずです。