静かに始まる物語ほど、読み終えたあとにじわりと心に残ることがあります。『翅脈』は、少しずつ何かが消えていく町を舞台に、二人の女性の静かな関わりと、一枚の地図をめぐる時間を描いた作品です。見えるものをそのまま写すだけではない地図。何気ない言葉や情景が、読み進めるほど別の意味を帯びていき、最初の印象が、少しずつ変わっていく感覚があります。余韻の残る物語や、言葉の奥にあるものを味わいたい人に、読んでほしい作品です。