夢を与えるのが悪魔で、夢を奪うのが天使。
その鮮烈な逆転の発想に、冒頭から強く心をつかまれました。
人が抱いた純粋な夢は、欲望によって歪められたとき、「非望」と呼ばれる邪悪な力へ変わっていく。
悪魔は優しい言葉で夢を育て、人間を破滅へ導く。
対する天使は、夢が人を狂わせる前に、無慈悲にそれを打ち砕く。
夢を叶える者が悪で、夢を壊す者が正義。
けれど、本当にそれだけで割り切れるのでしょうか。
夢を奪われた人間にとって、それは救済ではなく絶望かもしれません。
一方で、望みを叶えてくれる悪魔の優しさは、人を堕落させる甘い罠でもある。
「奪うことが愛なのか」「与えることが慈悲なのか」という問いが、物語の根底に流れています。
そんな重いテーマを背負いながらも、物語は決して暗さだけに沈みません。
主人公のサンタ・クルーズは、音速で空を駆ける元運び屋。
悪魔に騙されて危険な強壮剤を届けてしまい、さらには人間としての半分の存在まで奪われるという、かなり深刻な状況に陥ります。
それでも、彼は落ち込み続けるのではなく、ミカエルを「眩しいマッチョのおじさん」と呼び、女神アンドロメダにも遠慮なくツッコミを入れる。
どれほど絶望的な状況でも勢いを失わない、天真爛漫で前向きなサンタの存在が、物語を明るく力強く引っ張っています。
また、ミカエルとの漫才のようなやり取りや、男勝りの女剣士ダンサー、残念なイケメンのダッシャー、毒舌ながら頼もしいキューピッドといった仲間たちの個性も鮮烈です。
特に、サンタとダンサーの似た者同士の言い争い、渾身のギャグを披露しては周囲を凍らせるダッシャー、それを容赦なく切り捨てるキューピッドの掛け合いには、何度も笑わせていただきました。
漫画原作という形式だからこそ、光と闇の激突、コミカルな表情の変化、必殺技の迫力、テンポのよい会話が、自然と頭の中でコマとなって動き出します。
第五話では、問題児二人とトップエリート二人による「レッド・ファーストチーム」がついに結成されました。
それぞれの強さも性格も異なる四人が、どのような連携を見せるのか。
彼らがこれから飛び込む夢幻空間には、どのような歪んだ夢と悪魔が待っているのか。
さらに、サンタから奪われた半分の存在と、女神アンドロメダが授けた加護が、この先どのような意味を持つのかも気になります。
夢は、人を生かす希望にもなれば、人を呑み込む欲望にもなる。
だからこそ、それを壊すことが本当に正しいのか。
笑いと勢いに満ちたバトルの向こう側に、簡単には答えを出せない問いを秘めた作品です。
個性豊かなキャラクターたちが画面の中を駆け回る姿まで、鮮やかに想像できました。
サンタたちの最初の実戦がどのような戦いになるのか、これからの展開を楽しみにしています。