二次試験の思惑?
◆
地下空間にある『闘技場の上』に、一次試験を勝ち抜いた『113名の受験生』と、麗しき令嬢 伊集院 麗子が立っていた。
「一次試験突破おめでとう。君たち113名はこれから二次試験を受けることになるが、その前にコレを受け取ってくれ」
係員が、受験生それぞれにデッキケースを渡していく。
渡されたデッキケースを持ち上げてクラウドは問い掛ける。
「また、さっきみたいにデッキを組んで戦うってことか?」
「そのとおりだ。だが、今度の対戦相手は受験生ではないぞ――」
闘技場の上に、10名の男女が昇ってきた。
「――次の試験は、渡した200枚のカードから、52枚のデッキを組み、この10人の内の1人を倒してもらう。もちろん負ければ即敗退だ。 対戦相手は この中から自由に選ぶ事ができる。――『先着30名』が、次の最終試験に駒を進めることができる。 相手のデッキは君たちより格上だ、慎重にデッキを組んで存分にバトってくれたまえ――」
語られた内容に、クラウドは静かに考え込んだ。
( 違和感……。なにか……違和感を感じる……? )
闘技場の上で、受験生たちがデッキを急々と組むなか、その光景を優雅に眺めている伊集院 麗子をじっと見つめる。
( ……この試験に求められている事はなんだ? 彼女の言葉から推測すれば、合格者の人数が先着30名と決められている。 だから200枚のカードから最良のデッキを素早く組み、相手に勝利する。 デッキ構築スピードの判断能力が求められている……と考えるのが妥当―――いや……そうかっ! オレの予想どうりなら…… )
判断が正しいか、状況を見守った。
「よしっ、デッキが組み終わったでェ。ワイが一番乗りやァ!」
関西弁の受験生が対戦相手がいる10の闘技場の一つに向かって行く。それに続くように受験生が、次々と闘技場に――。
3分ほどのデッキ構築の速さに、デッキを組む受験生たちに動揺が走る。さらに10名ほどが、それぞれの闘技場の外側に並び整理券を受け取り、順番待ちの状態になっている。
取り残された受験生たちは、急がないと先着30名に間に合わないと思い、デッキ構築のスピードを加速させた。
だが、この状況でクラウドは冷静に周囲を観察していた。
( ……やはり、予想どうりだったな…… )
――この試験に求められていること、それはデッキ構築スピードじゃない――。
――相手のデッキを見極める力だ――。
彼女は言った――『相手のデッキは君たちより【格上】だ、【慎重】にデッキを組んで存分にバトってくれたまえ』――と。
【格上】――。そして【慎重】――。
このワードから導かれる答えは、【格上】の対戦相手のカードバトルを観察し、10人の中から自分のデッキと相性の良い相手を【慎重】に見つけること――それがこの二次試験の目的――。
最初の20名は、あきらかにデッキ構築スピードが速すぎた。おそらく あの20名はサクラ。300名近くいた受験生が一次試験により93名に絞られた。その中にまぎれ込ませても 気づくのは難しいだろう。
対戦相手10名に、2人ずつサクラがカードバトルをして、観察する機会をあたえられている。何故、わざわざ まぎれ込ませていたかは推測にしかすぎないが、おそらく受験生に動揺を与えるため。
――冷静に考えれば、『デッキ構築が速すぎる。しかも20名も一気に。これは何かある……』と気づくはず。だが、試験という緊張した環境。そして113名中 先着30名しか受からないという焦りが、冷静な判断力を奪った。
まったく、人の悪い試験だぜ――。
やれやれとクラウドは、副会長に嘆息する。
( ふふふっ。どうやら、彼が一番最初に気付いたようだな…… )
そう、最初のデッキ構築を済ませた受験生20名はサクラだ。対戦を観察して、自分と一番相性が良い相手を見極められる力があるのか――それを試すのがこの試験の目的。だが、状況に流されず自己を保てるか、それを試すのも目的のひとつ――。
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