突然上級生の不良グループに因縁をつけられ、校舎裏に呼び出された九尾兵助は三対一でフクロにされていた。
平穏な生活を守るため、一方的に殴らせながらも兵助の意識は『どこからか見ている』、その視線に向いていた。
暴力に取り憑かれながらも平穏な生活を希求する『怪物』九尾兵助と、その怪物に恋をして暴力に塗れた日常へ兵助を引きずり込もうとする『怪物少女』天童翡翠の、破滅的恋愛×格闘ドラマ。
九尾兵助。カースト下位の平穏な学生生活を求める高校1年生。だがその実態は、暴力を振るわれるのも振るうのも楽しいというやべー奴。鍛錬を欠かさなかったり、発達した肉体を隠すためにワンサイズ大きい制服を着てたり、突然グイグイと距離を詰めてくる学園カースト1位の美少女と普通に会話してたり、「お前のような隠キャがいるか」と思ってたら、隠キャに擬態しようとする暴力狂いの怪物だった。殴るのも好きだけど殴られるのも好きというところにホンモノ感がありますね。
天童翡翠。学園カースト1位の女子高生インフルエンサー。主人公兵助の擬態を見破り、兵助に付き纏って暴力に塗れた日常に引き摺り込もうとする、どこか高校生離れしたエキゾチックなオーラを放つ美少女。ネイルに擬態した暗器(ガチ)を持つ。ファミレスでなんてものつけてるんだ。
この美少女、最初は美人で突き抜けた世界観を持つ不思議系の怪物かと思ってたら、兵助へのセリフがいちいちコケティッシュでエロい。兵助と話ししながら自然に第一ボタンのブラウスを外したりする。ファミレスでなんてことしてるんだ。
この作品の魅力は丁寧に作られた魅力的なキャラクターだが、忘れてはならないのは、それを語る圧倒的な地の文章力。
不要な説明的な語りは、クドさや退屈さを生むけど、この作者の文章には読むだけで自然に頭の中に映像が浮かぶ、配慮の行き届いた洗練された描写力があって、読んでて安心感が凄い。
まだ始まったばかりで、最初の敵となる人物の影が出てきたところだけれど、これからこの作者が、作品の芯となるであろう恋愛と格闘描写をどのように描いてくれるかが楽しみでならない。
――ちゃんと、壊してね。