冒頭、静謐な筆致で描かれる「神格」との邂逅に、一気に心を掴まれました。
高次の存在を前にした厳かな空気を確かな筆致で描くところに、私は映画『メッセージ』を思わせました。
しかし本作の真骨頂は、その出会いをきっかけに、物語が重厚な政治劇へと姿を変えていくこと。
主人公・相馬は歴史の転換点の渦中へ巻き込まれ、物語のテーマをその身で背負わされ、そしてその問いは読者にも鋭く突きつけられます。
静かな文章だからこそ、一つの言葉、一つの決断が世界の価値観を変えていく重みが際立つ。
作者の筆力に終始圧倒されました。