雨の日。
一本の傘の下を、二人で歩く。
ただそれだけの出来事なのに、
こんなにも胸がくすぐったくなるのは、二人の間に流れる空気がとても丁寧に描かれているからだと思います。
少し濡れた肩を気遣う言葉。
近づいた距離。
何気なく交わされる会話。
相手にとっては、きっと何でもないことなのに——
好きな人から向けられる一つ一つの言葉や仕草は、どうしてこんなにも特別になってしまうのでしょう。
読んでいるこちらには、そのドキドキが痛いほど伝わってきます。
そして、この作品のお題は「嘘」。
その嘘は、誰かを傷つけるためのものではありません。
――ただ、もう少しだけ一緒にいたかった。
――もう少しだけ、あなたの隣を歩いていたかった。
そんな小さな願いから生まれたものだからこそ、可愛らしくて、少し切なくて、思わず応援したくなりました。
タイトルにある「おまじない」の意味も含めて、最後まで読んだ時、雨の中を歩く二人の姿がいっそう愛おしく感じられます。
どうか、この小さな恋心が届きますように。
そんな願いまで、そっと傘の中に入れてあげたくなるような——
優しく、甘酸っぱい恋のお話でした。
ぜひ、あなたもこの雨の中を、二人と一緒に歩いてみてください。