防災無線——近所にある方も多いのではないでしょうか。あれは身近なもので、とても役に立つものだと思います。
しかし、防災無線から聞こえる声はどこか不気味ではないでしょうか。その声はスピーカーを通して反響したり、歪んだりします。人間の声なのに、人の声には聞こえなかったり。とにかく、不穏な雰囲気があると思います。
本作はその防災無線と、とある事件にまつわるお話です。
いつもながら、二ノ前さまの繊細な情景描写には思わず息を呑んでしまう魅力があります。いつまででも読んでいたいその文章が作り出すホラーの雰囲気は、まさに絶品。美しく、艶があり、されど恐ろしい本作は、どんな方にも胸を張っておすすめできます。
ぜひ、ぜひご一読ください!!
一体、何が起きている……?
ニノ前先生といえば、少ない手数で恐怖と好奇心の扉をこじ開けてこられる名手だ。
今回も、
伊藤潤二的オカルトホラーで、こちらの想像力を容赦なく掻き立ててくる。
違和感は確かにあった。
いや、違和感の中で、主人公達は暮らしていた。
それは、誰しもが思ったことのある違和感である。
「あのまちこのまち」など、子供に帰るのを促す歌は、なぜどこか不気味なのだろう?
という違和感だ。
防災無線。特に田舎の街では夜は危ないので、市や村が税金で建てた鉄塔。
いわば町の良心……のはずだった。
ある日、その鉄塔の一番上で、老婆が首を吊った。
認知症の進んだ老婆がいかにして、鉄塔の上に登ることができようか。まして首を吊るなどと。
しかしこの村では、そんなことは一切触れず、ただ行方不明だった老婆が見つかったことを無線が告げる。未だ吊るされる老婆をそのままに。
悪い夢を見ているようにしか思えない。
これはオカルトの世界か、はたまた、全体主義の恐ろしさを揶揄した物語か……。
朝から、両立なゾワワをあなたに。
おすすめです。ぜひ、ご一読を。
たくさんのスピーカーが取り付けられた防災無線柱は、地方では見慣れた日常の風景だ。
だが、そこから流れる音は日常にそぐわない。
唐突に鳴り響く、大音量でノイズ混じりの割れた音。
〝ワァァン〟と広がる、ハウリングを伴った残響。
慣れているから受け流せるだけで、ほんとうは不快感や違和感がある音だ。
生活へ無遠慮に割り込んでくる異質な音響だ。
この物語が描くのは、市町村防災行政無線にまつわる奇異な出来事である。
本来の役割を超えて、その町に存在し続けている〝何か〟についての物語だ。
語り手は、子どもの頃に自分の住む町で起きた、ある出来事に違和感を抱く。
町の住民たちは、真相について何かを隠している。そう思えてならなかった。
そこから、語り手の町の風景の見え方が変わる。
人影のない道路。夕暮れに流れる〝夕焼け小焼け〟のメロディー。
ありふれたはずの風景が、まったく別の意味を帯び始めたのだ。
そして、常に誰かに見られているような被注察感につきまとわれる。
子どもの頃に語り手が体験した出来事は、本当に現実に起きた怪異だったのか。
それとも、統合失調症などの疾患による幻覚症状だったのか。
読者には、わからない。
どちらの現象かを判別する手立ては与えられない。
物語を語る人物が、自分を指す代名詞すら定かではないのだ。
ただ一つ言えることがある。
この話は、まだ継続している。
何も終わってはいない。怪異はずっと町にあるのだ。
本作を読んだ者は、最後の一文を読み終えた後まで、茫洋とした不安を抱くだろう。
それも、ずっと長い間。
【レビューコンテスト応募】
「カクヨム」のホラー小説の天才・鬼才の、二ノ前はじめ先生のこの作品なのですが、
ここまで怖いとレビューさえ辞退したいほどの作品に、完全に、完成されています。
この作品をレビューする事は、このレビュー専の、この私でも最早出来ません。
もの凄く勇気のある人にのみにだけ、お勧め致します。
気が小さい人は、絶対に、読んではダメなのです。何故なら、夜、寝れませんよ……。
えっ、それでも良いんですか?
何しろ、レビュー専の、この私がビビるのですよ。
私には、責任、持てません。
でもって、この作品を、お察しあれ!!!
これをもって、逆レビューと致します。