地球に残された時間は、あと一週間。
そんな途方もない状況から始まる物語ですが、最後まで読んで私の胸に残ったのは、「世界が滅びる恐怖」だけではありませんでした。
むしろ強く残ったのは、
「あの時、違う道を選んでいたら」
という、人が生きていく中で何度も抱くことになるかもしれない後悔でした。
湊と千景。
高校時代、同じ時間を過ごし、好きなことについて語り、友人たちと笑っていた二人。
文化祭の話をしたり、部活動に打ち込んだり。
そんな何気ない青春の日々がとても自然に描かれているからこそ、その後、二人がまったく違う場所から地球の最期を迎えようとしていることが、たまらなく切ないのです。
特に心に残ったのは、千景でした。
彼は最初から、何もかも間違った選択をしてきた人ではありません。
その時その時で、彼なりに考え、誰かを思い、自分で道を選んできた。
けれど人生は、選んだ瞬間にはその先を見せてくれません。
正しいと思って進んだ道が、何年も経ってから、
「もし、あの時——」
という後悔に変わってしまうことがある。
千景が自分の歩いてきた人生を振り返る姿を読んでいると、そのどうしようもなさに胸が締めつけられました。
そして一方の湊も、地球の最期を前にして、突然立派な人間になるわけではありません。
「どうせ終わるのなら」
そう冷めた目で世界を見ているところもある。
それでも、大切な人と過ごし、懐かしい友人たちと再会し、昔の記憶に触れていくうちに、少しずつ彼の中に残っていたものが見えてきます。
人は、世界が終わると分かったからといって、急に何もかも悟れるわけではない。
怖いものは怖い。
腹が立つものには腹が立つ。
忘れられない人もいるし、伝えられなかった言葉もある。
そんな綺麗には割り切れない感情が、この物語にはずっと流れていました。
だから私は、この作品のあらすじにある、
「残り一週間しかない地球で、あなたは後悔せずに最期を過ごせますか?」
という問いが、とても好きです。
読み始めた時には、
「自分なら残り一週間をどう過ごすだろう」
という問いだと思っていました。
でも、読み終えた時には少し違っていました。
残された一週間をどう過ごすかだけではない。
そこへ至るまで、自分は何を選び、誰と出会い、誰に何を伝えられなかったのか。
この物語は、そんな「これまで生きてきた時間」まで振り返らせてくれるように感じました。
もし、今ならまだ伝えられる言葉があるのなら。
もし、今ならまだ選び直せることがあるのなら。
いつか「あの時」と振り返ってしまう前に、もう少しだけ大切にしてみよう。
そんなことまで考えさせられました。
青春の眩しさと、終末へ向かう世界。
そして、遠く離れてしまった二人の親友。
彼らが最後に何を思い、何を残すのか。
ぜひ、最後まで見届けてほしい物語です。