吸血鬼はその作者様の解釈により色々な吸血鬼が生み出されるので、個人的に非常に好物でございます。
作者様の綴る文章だけではなく、何よりもこの相棒との関係性に注目すべく今回ナツガタリ応援も兼ねて推していきたいと思います!!
物語のはじまりの場所は霧の蔓延る町ロンドン。
ヨーロッパの美しい外観や貴族たちの描写がしつこすぎないように、読みやすく語られている。
不死の研究をする事件と吸血鬼が死んだときに出る灰。
この灰が人間の潜在能力を爆発させて狂わせてしまう事件が発生。
夜に活動する吸血鬼のクロフォード医師は診察の傍らにこの謎の事件を知り、もしやと事件の謎を追いかけはじめる。
もちろん何やら放っておけないクロフォード医師を心配する助手のバートくんもこっそりと先生の跡をつけて。
隠したかった秘密が暴露されたとき、バートくんの対応は……?
自己肯定感の低い吸血鬼医師が信頼している人間に認められた時、ふたつめの物語の針が動き出す。
切り裂きジャックや煙突掃除の話が非常にリアルあるところで、それをさらりと物語の中に混ぜ込んでいるところがうつくしいです。
字の文で多く語らない中に滲み出る二人の関係性の変化とワンシーンがとにかく目で見えます。
そして私はちらっちらっと出てくるクロフォード医師のお兄様が大好きです///
BGMはクラシックをお供にぜひこの世界観を堪能したい。続きが気になる作品です。
硝煙と霧が覆う街。
隣り合わせの貧富。
それぞれの生き方を弁えていなければ、たちまち足元を掬われるような時代。
そんな街に似合いの美貌の吸血鬼。
彼は多くの伝承が語る通りの姿と特性を以て、この街で医師として生きている。
無論、彼らの食糧である「血」を手に入れるために。
長く生きる彼らにとって、
「人間の生」などというものは
興味の対象ぐらいの価値しか持たないのかもしれない。
けれども彼は、特別な「人間」を傍においている。
二人の出会いがどんなものなのか、
本編では語られない。
けれども奔放な吸血鬼に呆れながらも
翻弄されることのないその唯一の「人間」の相棒は
確実に吸血鬼を翻弄している。
決して彼が異質なわけではない。
異質どころか、人間過ぎるほど人間で
実直すぎるほど実直。
駆け引きも、下心もなにも持ちえない。
だからこそなのか。
完全無欠の吸血鬼の心を
これでもかというほど揺らすのだ。
こんな二人の関係、見たくないわけがないでしょう。
町を揺らす事件は深く、欲に塗れてどす黒い。
反して二人の生まれたの恋(?)は
道端に咲く純白の花のごとく可憐で愛しい。
この二つの世界観のギャップをご堪能あれ!
軽妙で美しい筆致に毎話飛び出す名言の数々。
多角的な魅力にあふれた一押しの作品です✨
ガス灯が街を照らし、蒸気機関が煙を吐く産業革命時代。その丁寧に積み上げられた時代背景だけでも十分に惹き込まれるのですが、この作品の真の魅力は、主人公クロフォード医師という人物にあります。
美貌を持つ優れた医師でありながら、どこか飄々とした皮肉屋。
患者には容赦なく真実を告げる一方で、医療への探究心は誰よりも真摯です。その言動には常に人間臭さと謎が同居し、「もっと、彼のことを知りたい」とページをめくる手が止まりません。
そして、その魅力をより際立たせているのが、過度に感情を煽らない淡々とした文章です。静かな筆致ゆえに、登場人物の仕草や沈黙、何気ない一言が深く心に残ります。
まるで海外文学を読んでいるような落ち着いた空気が作品全体を包み、読者を十九世紀の街並みへと連れて行ってくれます。
医療、ミステリー、吸血鬼――異なる要素を丁寧に溶け合わせながら、独特の雰囲気を作り上げた良作。世界観に浸りたい人、魅力的な主人公に出会いたい人には、ぜひ一度読んでいただきたい作品です。