ただの深夜バイトだったはずが、黒いバインダーを開いた瞬間から日常の足元が崩れていく怖さに引き込まれました。刈谷先輩に守られた志村が、三年後には有栖川を守る側になっているのが胸に刺さります。怪異より苦しいのは、先輩を置き去りにして生き延びた罪悪感でした。消えたはずの先輩がレジログで助けを求め続け、志村も救う手段を手放せない。迫る台風の気配に、閉じかけた境界がまた口を開く音まで今も聞こえるようでした。