一癖ある人物たちの、まるで熱せられたタールのような、ネトネトした心理描写がお得意の祐里さんの最新作です。暗黒文学祭出品作だけだって、タグにも「激重シリアス」と入っていますね。まさに純文学と言った趣の作品です。
ストーリーは、中学生の主人公愛花と、アパートの大家である小母さんとの交流の物語です。母子家庭で、ヒモ男がしょっちゅうで入りする環境の中で、愛花の精神は荒廃し、社会性も倫理観も醸成される環境にはありませんでしたが、小母さんとの交流を通じて少しずつ身に着けていきます。
しかし、ある台風の夜、母親が家にヒモ男を連れ込んでいる間、嵐の中に追い出された愛花が行った、ある悪さによって、一気に運命が動いていきます。
暗い事は暗いのですが、最後は一抹の光の見える、読後感の悪くない作品だと思いました。また、重いストーリーですが、確かな文章力、表現力、またキャラ同士の心の交流と言ったものが、読む者の心に響いてきて、思わず惹きつけられる作品だと思います。
なお、こんなくらーい話ばかり書いている祐里さんですが、本人の言によると「夫大好きラブラブ」だそうで(原文ママ)、しょっちゅう「焼き肉キング」で食べ放題(一番高いやつ)をしているそうです。何が創作の源になるか、分からないものですねw
お好みの別れるところかも知れませんが、わたくしはこの作品大好きです。
お勧め致します。