第1話の設定の組み立てが巧みです。鉄隕石が月の裏側をかすめた跡から発見された人工物めいた「丸い大きなハッチ」——メカが近づくと電波が途絶えて操作不能になるという一点だけで、未知への畏怖と好奇心が一気に立ち上がります。だからこそ人間が送り込まれるという必然性も自然で、選ばれた三人の高揚が読者にそのまま伝わってきます。暗闇・灼熱・孤独という三つの特殊訓練の提示も、これから始まる遭遇の異常さを予感させて秀逸。人類代表として扉の向こうへ踏み出す瞬間が今から楽しみです。