鹿子木の荘という地名がある。歴史の教科書にも載る、平安の昔、清少納言が安堵に関わったと伝わる古い土地だ。今も緑が美しく、優しい雨がよく似合う。そこを通るたび、つい思いをはせてしまう。彼女はどんな人だったのだろう。同じ時代を生きたもう一人の才媛、紫式部と出会っていたら、どんな話をしたのだろうか、と。をかしと、あはれ。あの時代を彩った、二つの言葉。それが、雨を前にした一つの部屋で、静かに溶け合っていく。そんな夢のような、ひと時の物語
文芸部の二人の少女が、放課後の雨宿りに見せる一ページを切り取っています。とても映像が綺麗です。間も綺麗です。少女たちと同じように、ふっと笑みがこぼれるような掌編です。こんな青春時代を過ごしてみたかった。