見た目はギャルだがしごできな経理部所属の冬堂ゆきと、学生時代からの後輩であり、その清楚な美貌で社内一の人気を誇る人事部の花・桜乃小春。ふたりには周りに隠している秘密があった。それは同居中の間柄であること。そしてゆきには小春へすら明かしていないもうひとつ秘密があった。小春に特別な感情を抱いているという秘密が――
同棲ならぬ同居関係のふたり、この微妙な関係が織り成す寮生活めいた日常だけでも楽しいわけですが、そこに主人公であるゆきさんの拭いきれない感情が加わることで、微妙は絶妙へと昇華するのですね。
おかげで何気ない会話劇にすら恋の予感が匂い立って、でもふたりが甘々しながらも一歩を踏み出さないからこそ読者はトドメを刺されることがなくて……尊さとは時に刃より深く胸を抉るものなのだ! と大悟するよりないわけです。まさに超良質な百合でなければ味わえないほろ苦い痛みではありませんか。
早くどうにかなってほしい思いといっそこのままいてほしい思いが読者をざわつかせる本作、当然波乱もありありですよ!
(新作紹介「カクヨム金のたまご」/文=髙橋剛)