読んでいると、ずっと奇妙なしんとした空気の中に取り込まれたような、そんな感覚に囚われます。
どういう空気なんだよと思った方。
すみません。自分の語彙力だとしんとした、とかなんか気味悪いそんな感じの、とかしか言えません。
登場人物は三人。息子と美雪さんなる女性、そして父親。美雪なる女性がいったい何者なのか、自分の読解力の低さゆえなのか分からなかったのですが、そんな具体的な役割さえどうでも良くなる空気感が本作にはある。
とにかく、不気味。
いや、不気味という言葉は合っていないような。
筆力の高い短編ゆえに、語彙力のない(読解力もない)自分がレビューするのが大変申し訳なくなるのですが、体温とか匂いとか感覚的な描写がとにかく素晴らしくて、まるで自分が美雪さんを見つめている息子になった気分になります。
そして父親の異常な行動。意味深な美雪さんの発言。
ネタバレになるので何が異常で何が意味深なのかは(とりあえず異常さに関して軽く触れておけば、スプラッタ的な異常さではありません)触れないでおきますが、その異常な行動が変わるとかなく、淡々と語られ、奇妙な余韻を残して話は終わる。
冒頭でも述べましたが、自分にはこの不気味さ、奇妙さを語る言葉を持ち得ていません。申し訳ない。が、未読の方にはこのしんとした、狂気ともいえる空気感をぜひ体感してみて欲しいです。