※第11話まで読んだところでの感想です。
主人公が皿洗いをしている場面から始まります。「痛みは金にならないが、皿洗いは金になる」。ここで好きになりました。この人はずっとこの調子で、目に入るものを片っ端から金額に換算していきます。ドレスも、シャンデリアも、自分の命も。
イベント屋として唸ったのは第3話です。天井まで書類が積み上がった執務室を片付ける場面。緊急・通常・ゴミの三分類で仕分けて、宰相の手元には承認印を押すだけの状態で回す。しかも要約メモが付いている。自分が終わらせるのではなく、相手の作業を減らすところまでが仕事になっていて、良かったです。
宰相のほうも、金額の桁で物を見ない人です。彼女が何を大事にしているかを見て、そこだけ極端に本気になる。二人の「高い」と「安い」が最後まで噛み合わないのが、可笑しくて良かったです。
この先も読みます。
第1章「借金令嬢、氷の宰相に買われる」全9話、拝読しました。
まず率直に、めちゃくちゃ面白かったです。こうしてレビューを書いている暇があったら続きを読みたいと思ってしまうのですが、逸る気持ちを抑えてこの文章を書いています。
特に唸ったのは、“神速計算”という設定の説得力です。「Σ_{i=1}^{n}…」から始まる実際の数式、市場価格や気象データを根拠にした横領の見抜き方。多くの作品が「計算が得意」を自己申告で済ませる中、この作品はきちんと数字と論理で読者を納得させにきます。金融・経済用語を隅々まで使い倒すリアナの語り口は独特ですが、その独特さがそのまま彼女のキャラクターの説得力になっていて、“パン換算”や”減価償却”といった言葉選びのユーモアも含めて、終始飽きさせません。
構成面でも隙がありません。各話が一話単位で起承転結を作り、次の話への引きだけを残して綺麗に閉じる。無駄な引き延ばしが一切なく、テンポよく読み進められます。文章そのものも癖がなく、誰にでも読みやすい文体で書かれているのも大きな美点だと思います。
正直に言うと、私はこの手の「溺愛もの」というジャンルを今回初めて読みました。普通の恋愛ものが持つ”焦れったさ”を長く引っ張るのではなく、早々に想いを固めてしまい、そこから先の”溺愛の圧”そのものを読ませる構造なのだと、読みながら理解しました。その意味で、この作品は入門編として非常に良い体験になりました。ジャンルに不慣れな読者の目には、アレクセイ様の変化の速さが微笑ましく映りました。氷の宰相、意外とチョロい。笑
最初に出会った溺愛ものがこの作品で良かった。そう思わせてもらえる一作でした。
一点だけ、贅沢な望みを。1話の出会いが「偶然」に見える部分だけは、この先どこかで種明かしがあると、物語により厚みが出ると感じました。もし彼が以前からリアナの存在を知っていたのだとしたら。亡き両親が実はアレクセイの恩人で、アレクセイはその遺言に従って彼女を迎えに来ていたとしたら。両親が遺した「遺産」が「負債」だけではなく、「出逢い」という名の宝ものでもあったとしたら、タイトルの「溺愛」の意味が、恋人からだけではなく、父からの愛という意味でもかかっていたことになる――そんな想像を掻き立てられるのも、この作品の力だと思います。
第2章も楽しみに読み進めます。
ヒロインは人間コンピュータとも言うべき計算の鬼、リアナ。
数字の匂いを感じ、片手間で人間離れした計算を行う演算ハイスペックです。
対するヒーローは、氷の宰相と呼ばれる文字通りの氷使い、アレクセイ。
彼がリアナの演算に目をつけ、彼女を購入。
そして、『購入』後、即座に見つかる裏帳簿。
ここから本格的に始まり、二人は膿を出す『共犯』となります。
異世界版マルサの女を見ているような気分で、とても清々しく、常に続きが気になります。
アレクセイの驚きっぷりや、それに対して理路整然と返すリアナ……
果たしてどちらが本当の氷か。
とても楽しい作品です。
この作品に出会わせてくれた作者さんに敬意と感謝を。
冒頭、皿洗いをしながら時給を計算しているヒロインのリアナ。この時点でもう好きになりました。「痛みは金にならないが、皿洗いは金になる」——彼女の生き様がこの一行に全部詰まっています。
そんな彼女が、国家予算の横領を暗算で見抜いてしまうところから物語が動き出します。とにかくリアナが有能で、そして可愛い。何を見ても金銭に換算してしまう彼女のクセが癖になって、気づけば笑っているんです。
対する「氷の宰相」アレクセイの登場のさせ方もお洒落で、この二人が並んだ瞬間に「あ、この物語は面白い」と確信しました。冷徹なはずの宰相が、有能でドケチなヒロインに振り回されていく予感がたまりません。
借金、契約、そして少しずつ滲む甘さ。3話まで一気に読んでしまいました。ヒロインが好きになれる作品を探している人に、全力でおすすめします。